南ア国営電力 クバーグ原子力発電所の運転期間延長の必要性を強調
18 Nov 2022
クバーグ原子力発電所 ©ESKOM
南アフリカ共和国の国営電力会社であるESKOM社のJ.オベールホルツァーCEOは11月15日、クバーグ原子力発電所1号機(PWR、97万kW)で12月から始まる定期検査が、蒸気発生器(SG)3台の取替え作業により長引く可能性があることから、2号機(PWR、97万kW)で次回の定検時に予定していたSGの取替えは、同発電所全体の運転期間延長(LTO)計画に影響が及ばないよう、数か月先送りする方針を明らかにした。
クバーグ発電所は同国唯一の原子力発電所であり、1984年と1985年にそれぞれ運転を開始した1、2号機は2024年と2025年にそれぞれ40年目を迎える。前政権のJ.ズマ大統領は2011年3月の「統合資源計画(IRP)」に基づき、2030年までに960万kWの新規原子力発電設備の建設を計画したが、同大統領が2018年に失脚した後、翌年改訂されたIRPでは2024/2025年以降、エネルギーを引き続き供給するため運転期間を延長する方針が示された。
ESKOM社はすでに2021年中に、両炉の運転期間を20年延長する申請書を国家原子力規制当局(NNR)に提出しており、今年7月には同発電所のセーフティケース(安全性保証文書)を提出した。同社は現時点で運転期間の延長を阻む安全上の課題は特定されていないとしているが、NNRは2024年以降の運転継続を認める前に、同発電所が国際的な規制要件や基準を満たしていることを確認する。なお、NNRが審査結果を公表するまでに、約2年を要する見通しである。
一方、電力系統の運用も担うESKOM社が10月末に公表した「(2023年~2027までをカバーする)供給システムの中期的適性見通し(MTSAO)2022」によると、クバーグ原子力発電所のLTO計画は当初予定より2年遅延する可能性がある。もし遅延した場合に、これら2基が供給してきた年間150億kWhの電力が失われる影響は大きく、同システムの供給量は大幅に制限され電力不足が深刻化すると指摘している。
「MTSAO 2022」は、新規の発電設備建設プログラムにこれ以上の遅れが生じないよう努めることに加えて、クバーグ発電所のLTO計画に一層の重点を置く必要性を指摘している。
(参照資料:ESKOM社の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月8日付け、17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)