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フィンランドのOL3 営業運転開始は来年1月末の見通し

25 Nov 2022

オルキルオト3号機(OL3)©TVO

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は11月21日、オルキルオト原子力発電所で試運転中だった3号機(欧州加圧水型炉:EPR、172万kW)のタービン系・給水ポンプ内で10月に損傷が見つかったことから、「原因調査にさらに週数間を要するため、試運転は最短でも12月11日まで続け、営業運転開始については早ければ来年1月末になる見通しだ」と発表した。

世界で初めて、第3世代+(プラス)のEPR設計を採用したOL3の建設工事は2005年に始まったものの、技術的な課題を含む様々なトラブルが発生したため、同炉が臨界条件を初めて達成したのは2021年12月のこと。今年3月に欧州初のEPRとして試運転を開始した後、9月末にはフル出力に到達しており、この時点では12月の営業運転開始を予定していた。

しかし、TVOの10月18日付発表によると、同炉で保守点検作業を実施した際にタービン系の給水ポンプで内部構造物の損傷を探知。TVOは同炉の安全性に影響はないとした上で、営業運転の開始スケジュールに影響が及ぶかについては、未だ不明としていた。また、今月7日になると、TVOは4つすべての給水ポンプ内で羽根車にクラックが認められたことを明らかにしており、破壊試験で割れた羽根車のパーツをいくつかの研究所に送って、根本原因等を分析調査中であるとしていた。

今回の発表でTVOは、サプライヤーであるアレバ社と独シーメンス社の企業連合からの情報として、「遅くとも12月には詳細な原因調査の最終結果が判明するので、運転開始スケジュールへの影響もはっきりする」と説明している。

(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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