米ニュースケール社 SMR関連機器の設計をフラマトム社に発注
07 Dec 2022
標準的なVOYGR設備の完成予想図 ©NuScale
米ニュースケール・パワー社は12月5日、同社製の小型モジュール炉(SMR)である「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」の燃料取扱い装置と貯蔵ラックの設計契約を仏フラマトム社に新たに発注したと発表した。
将来的にはこれらの機器をフラマトム社が製造することになっており、ニュースケール社は「SMRの機器製造とサプライチェーンの構築に向けた重要な一歩」と評価。これらの契約を通じて、ニュースケール社は顧客のスケジュールに沿って、2020年代末までにNPMを複数基備えた発電設備VOYGRの建設が可能になるとしている。
ニュースケール社のNPMはPWRタイプの一体型SMRで、電気出力が5万kW~7.7万kWのモジュールを最大12基連結することで出力の調整が可能。米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月、1モジュールあたりの出力が5万kWの「NPM」に対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給した。同社はまた、2021年12月に出力7.7万kWの「NPM」を複数搭載したSMR発電設備の呼称を「VOYGR」に決定。搭載基数に応じて、出力92.4万kWの「VOYGR-12」、46.2万kWの「VOYGR-6」、30.8万kWの「VOYGR-4」と名付けている。
ニュースケール社によると、フラマトム社との協力関係は2014年にさかのぼり、フラマトム社はNPMのSDA取得に向けて、エンジニアリング・サービスの提供や許認可プロセスの分析等でニュースケール社を支援してきた。今回の協力拡大により、両社はVOYGRの建設と商業化をさらに進める考えだ。
フラマトム社は今回の契約業務を遂行するのに際し、米ペンシルベニア州の起重機企業であるアメリカン・クレーン社、および仏オラノ社と連携する方針。これらの機器の既存設計をVOYGR設備の仕様に適応させて合理的な設計・製造方法を開発し、VOYGRの建設スケジュールを順守可能にする。燃料取扱い装置については、同社は本格的な遠隔操作機能を追加して性能強化を図るとした。また、高密度・使用済燃料貯蔵ラックの設計では、VOYGR設備独特の要件を満たすため関係技術を有するオラノ社とチームを組み、原子力産業界全体で培ってきた経験を活用するとしている。
今回の契約を通じて、両社はこれまでの協力関係を一層強化しVOYGR設備の建設工事に至るまでこれを継続。世界中の多様なエネルギー需要に応えられるよう、VOYGR設備で柔軟性の高い発電オプションを売り込んでいく。また、フラマトム社としてはSMR機器の設計・製造能力をさらに向上させて、SMRを含む将来の先進的原子炉への機器・サービス提供でシェアを拡大したいとしている。
(参照資料:ニュースケール社、フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)