フラマトム社 英国のSZC計画で正式契約に先立つ枠組み合意
14 Dec 2022
サイズウェルC原子力発電所の完成予想図 ©NNB SZC
仏フラマトム社は12月8日、英国サフォーク州でサイズウェルC(SZC)原子力発電所(欧州加圧水型炉:EPR×2基、各167万kW)の建設を計画しているEDFエナジー社の子会社NNB Generation(SZC)社(NNB SZC)と、正式な契約に先立ち大まかな枠組みで合意したと発表した。
独シーメンス社とともに1990年代からEPR設計の開発に携わったフラマトム社は、すでに2021年からSZC計画関係の作業を請け負っており、英国政府が一部出資するプロジェクト企業であるNNB SZC社との今回の枠組み合意は、このような実績、および同社がEDFエナジー社のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所(EPR×2基、各172万kW)建設プロジェクトで提供している様々なサービスの実績に基づいている。SZC計画について今後、最終投資判断(FID)が下されれば、フラマトム社はNNB SZC社と主契約を結ぶ予定である。
フラマトム社のB.フォンタナCEOは今回合意に至った理由として、英国政府が先月末、この建設プロジェクトに対し6億7,900万ポンド(約1,136億円)の直接投資を決め、同等の追加投資を行うフランス電力(EDF)とともに同プロジェクトを50%ずつ保有することになったことを挙げた。英国政府は今後、NNB SZC社と協力して同プロジェクトに出資する第三者を新たに募る方針だが、同CEOは「財政支援等の協力が政府から得られることになり、EDFエナジー社はSZC計画を前進させることができるし、当社としてもこの契約により、英国に低炭素な新世代の原子力発電所を提供していく方向性を再確認した」と述べた。
今回の枠組み合意の下で、フラマトム社は原子力蒸気供給システム(NSSS)の製造や計装制御(I&C)系の劣化管理、初期段階のエンジニアリングや資機材調達などを行う予定。また、長納期鍛造品の製造準備など、2021年以降すでに実施済みの作業についてもカバーしていく。
フラマトム社によると、SZC発電所の2基はHPC発電所と同型設計になるため、リスクの最小化やコストの軽減、建設スケジュールの明確化などで大きな利点がある。HPC計画の経験を反映させることにより、後続のEPRプロジェクトは設計や建設、サプライチェーン等の面で効率化が図られ、このように大規模な建設プロジェクトを確実に管理できるとしている。
(参照資料:フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)