韓国政府 第10次電力需給基本計画を公表
17 Jan 2023
新ハンウル原子力発電所 ©KHNP
韓国の産業通商資源部(MOTIE)は1月12日、同国における2022年から2036年までの電力需給見通しと電力設備計画を盛り込んだ「第10次電力需給基本計画」を発表。大型炉2基の建設計画が復活した。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が昨年7月に提示した「新政府のエネルギー政策方向」に沿って、原子力発電所の積極的な活用、再生可能エネルギーの適正な水準での普及、石炭火力の削減といった方向性を具体化したもの。これにより、前政権が白紙撤回した大型原子炉2基の建設計画が復活し、2036年までに原子力の発電シェアは34.6%に増加する見通し。再エネも30%以上とした一方で、石炭火力は15%以下への削減が見込まれている。
MOTIEによると、同基本計画は昨年8月に実務案が公表された後、環境部の戦略的環境影響評価や関係省庁による協議、公聴会の開催、国会の常任委員会への報告といった手続きを経て、MOTIEの電力政策審議会が11日付で確定した。脱原子力政策を推進したムン・ジェイン(文在寅)政権下の第8次、第9次基本計画では、再エネを中心とするエネルギー供給システムへの移行が謳われていたが、ユン政権の基本計画は「実現可能でバランスの取れた電源ミックス」を提唱。8月以降の審議では主に、①既存炉の長期運転にともなう安全性と使用済燃料の処理問題、②再エネを追加で拡大する必要性、③石炭火力の削減を追加で進めることと、それにともなう問題点等について意見が提起されたという。
これらを審議した結果、MOTIEは「原子力の利用拡大は国民の安全を最優先に推進していくものであり、懸念されている使用済燃料の処理については、高レベル廃棄物管理特別法を制定して基本的な管理体系を設定。処分場が完成するまでの期間は乾式貯蔵施設を原子力発電所の敷地内で拡充するほか、研究開発や専門的人材の育成を推進するなど関連の基盤を構築する」としている。
今回の基本計画で設置が承認された新たな原子炉は、2022年12月に営業運転を開始した新ハヌル1号機(PWR、140万kW)のほか、建設中の新ハヌル2号機(PWR、140万kW)と新古里5、6号機(*現在の名称はSaeul 3、4号機)(各PWR、140万kW)である。これらに加えて、新ハヌル3、4号機(各PWR、140万kW)の建設計画を復活し、それぞれ2032年と2033年に完成させる計画である。
国際原子力機関(IAEA)の統計によると、韓国では2021年に国内の24基、計2,341.6万kWの原子炉で総発電量の28%を供給した。今後の電源構成について、基本計画では2023年時点の原子力発電設備を2,610万kW(総発電設備の17.5%)とし、2026年と2030年には2,890万kWまで拡大(それぞれ17.1%と14.6%)。その後、2033年と2036年に3,170万kW(それぞれ14.3%と13.2%)とする。
発電量のシェアについては、2030年に原子力で2,017億kWhを発電して総発電量の32.4%を供給、2036年には2,307億kWhの発電量で全体の34.6%を賄うとしている。
(参照資料:MOTIEの発表資料(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)