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米規制委 SMRとしては初の設計認証を発給

23 Jan 2023

ニュースケール社製SMR発電所の完成予想図 ©NuScale

米原子力規制委員会(NRC)は1月19日、ニュースケール・パワー社製の小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」(電気出力5万kW版)に対し、SMRとしては初の設計認証(DC)を発給した。

米国での利用を許可するため、NRCがこれまでにDCを発給した炉型はウェスチングハウス(WH)社製AP1000などの大型炉も含めると7つ目。米エネルギー省(DOE)は2014年以降、ニュースケール社製も含め、様々なSMRの設計や許認可手続き、立地等に6億ドル以上の支援を実施してきたが、K.ハフ原子力担当次官補は、「SMRはもはや抽象的な概念ではなく、建設準備ができた現実のものになった」と指摘。「最も優れた技術革新の結果であり、我々はここ米国でその活用を開始する」と宣言した。

ニュースケール社は2016年12月に「NPM」のDC審査をNRCに申請しており、NRCスタッフは2020年8月に同設計の技術審査を終えて最終安全評価報告書(FSER)を発行。翌9月には、同スタッフが当該設計について「技術的に受け入れ可能」と判断したことを意味する「標準設計承認(SDA)」を発給している。NRCはその後、DC審査の最終段階として、電気事業者が当該設計の建設・運転一括認可(COL)を申請する際、米国内で建設可能な標準設計の一つに適用する規制手続き「最終規則」の策定作業を進めていた。NRCの委員5名も2022年7月末にNRC全体の決定として、「NPM」が米国での使用を承認された初のSMRと票決していた。

今回はこの最終規則の策定が完了し連邦官報に公表されたもので、同規則が発効する2月21日から「NPM」のDCも有効である。DCはその後15年間効力を持ち、さらに10年~15年間延長することも可能。今回のDC発給により、「NPM」のCOL申請審査ではDC規則で解決済みの課題に取り組む必要がなくなる。発電所の建設サイトに特有の安全性や環境影響について、残る課題のみに対処することになる。

「NPM」の初号機については、ユタ州公営共同事業体(UAMPS)が単基の電気出力7.7万kW版の「NPM」を6基備えた設備「VOYGR-6」(出力46.2万kW)を、DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)内で建設する計画を進めており、最初のモジュールは2029年の運転開始を目指している。このため、ニュースケール社は今月1日、7.7万kW版の「NPM」についても、NRCにSDAの取得を申請した。UAMPSもINL内での用地調査を終え、2024年の第1四半期を目途に「VOYGR-6」のCOLを申請する予定である。

米国内ではこのほか、ワシントン州グラント郡の公営電気事業者「グラントPUD」が2021年5月、ニュースケール社製SMRの性能を評価するため、同社と協力覚書を交わした。また、ウィスコンシン州のデーリィランド電力協同組合も2022年2月、同SMRを事業域内で建設する可能性を探るとして、了解覚書を締結している。

国外では、カナダやチェコ、ウクライナ、カザフスタン、ルーマニア、ブルガリアなどの企業が国内でのNPM建設を検討中で、それぞれが実行可能性調査等の実施でニュースケール社と了解覚書を締結済み。ポーランドでは、鉱業大手のKGHMポーランド銅採掘会社が「VOYGR」設備をポーランド国内で建設するため、2022年2月にニュースケール社と先行作業契約を締結している。

(参照資料:DOEの発表資料、連邦官報、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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