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ポーランド企業 仏製SMRの導入に向けEDFと協力協定

24 Jan 2023

「NUWARD」 ©TechnicAtome

ポーランドのリスペクト・エナジー(Respect Energy)社とフランス電力(EDF)はこのほど、EDFが中心となって開発しているフランス製小型モジュール炉(SMR)「NUWARD」のポーランド国内での共同建設に向け、両社が協力協定を締結したと発表した。

リスペクト・エナジー社は再生可能エネルギー専門の取引企業で、欧州の顧客にクリーン・エネルギーのみを販売している。今回、事業を原子力分野に拡大する第一歩として「NUWARD」を選択したもので、今後はEDFと協力して建設サイトの選定評価作業を実施するほか、同プロジェクトへの資金調達方法や事業計画の詳細等を策定する。

一方のEDFは2021年10月、原子力発電の導入計画を進めるポーランド政府に対し、2043年までに同国の2~3サイトで、4~6基(出力合計660万~990万kW)の欧州加圧水型炉(EPR)を建設すると提案。今回のSMR建設計画はこの提案を補完する役割を担うと説明しており、これらの原子炉を通じてポーランド経済の脱炭素化やエネルギー供給保証の強化を支援していく考えだ。

リスペクト・エナジー社のS.ヤブロンスキ会長は、「SMRの建設でポーランドのクリーン・エネルギーへの移行に貢献し、安全でCO2を排出しない電力の需要に応えていきたい」と表明。EDFと独占的な協力協定を結んだことで、同社は欧州初のSMRをポーランドで建設するという意欲的なプロジェクトを進められるほか、同社が保有する無炭素発電設備の拡大にもつながると指摘している。

EDFで国外の原子力プロジェクトを担当するV.ラマニー上級副社長は、「当社が提供可能な大小2種類の原子炉でポーランドがエネルギーの輸入から脱却し、持続可能で低炭素な電力を生産できるよう貢献したい」との抱負を述べた。

「NUWARD」はフランスで50年以上の経験が蓄積されたPWR技術に基づき、EDFがフランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)や小型炉専門開発企業のテクニカトム(TechnicAtome)社などと協力して開発中。出力17万kWの小型PWR×2基で構成される「NUWARD」プラントの合計出力は34万kWで、NUWARD企業連合にはフラマトム社も加わっている。2022年5月には、ベルギーの大手エンジニアリング・コンサルティング企業であるトラクテベル社が、同炉の概念設計の確認調査を請け負っており、EDFは今年から基本設計に入る予定。2030年にも実証炉の建設を開始するなど、競争力を備えたSMRとして世界市場に送り出す方針である。

ポーランドでは現時点で様々なSMRの建設が計画されており、化学素材メーカーのシントス社は2021年12月、石油精製企業のPKNオーレン社と合弁事業体を設立して、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製SMR「BWRX-300」の建設に重点的に取り組む考えを表明。鉱業大手のKGHMポーランド採掘会社は2022年2月、米ニュースケール・パワー社のSMRを複数備えた「VOYGR」発電設備を2029年までに国内で建設するため、先行作業契約を締結した。また、ポーランド政府所有の電力会社であるエネア(Enea)グループは2022年6月、米国のSMR開発企業であるラスト・エナジー社のSMR導入を目指し、同社と基本合意書を締結している。

(参照資料:リスペクト・エナジー社(ポーランド語)EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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