カザフスタン 大型炉建設に向けフランスと協議継続
30 Jan 2023
カザフ政府とEDFの協議 ©Kazakhstan Government
原子力発電の導入を計画しているカザフスタンで1月26日、B.アクチュラコフ・エネルギー大臣とフランス電力(EDF)のV.ラマニー上級副社長が会談。二国間協力協定の締結に向け協議を継続することで合意した。
カザフスタン政府の発表によると、EDF側はフラマトム社が開発した欧州加圧水型炉(EPR)の出力縮小版「EPR1200」(120万kW)を、カザフ国内で建設することを提案している。
カザフでは、旧ソ連時代にアクタウ市で建設されたソ連製の高速増殖炉「BN-350」(15万kW)で熱電併給と海水の脱塩が行われていたが、1999年4月に同炉が運転を停止して以降、原子力発電設備は存在しない。一方、生産量で世界第1位という豊富なウラン資源を背景に、同国は原子力産業の開発を進めていく方針。2014年に新設されたエネルギー省が中心となって、大型炉や小型モジュール炉(SMR)の建設機会を模索している。
大型炉については、ロシアの国営原子力企業ロスアトム社の協力により建設する計画が何度か浮上したが、現在の候補企業としては、同社のほかにEDF、中国核工業集団公司(CNNC)、韓国水力・原子力会社(KHNP)の4社が上がっている。
カザフ政府の発表によると、カザフ側は、国営原子力企業のカザトムプロム社が中国企業と合弁で運営している「ウルバTVS社」が、フラマトム社からの技術移転により製造した燃料集合体を2022年12月に初めて中国に納入した事実に言及。「フランスでは原子燃料製造の全工程が確立されている」と強調した。
2022年7月には、カザフのエネルギー省やカザトムプロム社等の専門家で構成される代表団が、フランスにおける原子力発電所の建設や運転経験等を共有するため同国を訪問している。フランス財務省やエネルギー移行省が開催した会合、およびEDFとの交渉では、原子力発電所の建設プロジェクトに政府の資金や保証、民間投資を呼び込むための資金調達モデルについて調査。同調査団はまた、EPRが3号機(165万kW)として建設されているフラマンビル原子力発電所(1、2号機、各PWR、138.2万kW)を視察した。
EPRとしては、2005年と2007年にフィンランドとフランスでそれぞれ、オルキルオト3号機(172万kW)とフラマンビル3号機が本格着工したが、初号機建設ならではの様々な課題から今なお建設中。しかし、これらより後に中国で着工した台山1、2号機(各175万kW)は、これらからの教訓を生かしてそれぞれ2018年12月と2019年9月に営業運転を開始した。また英国では、同じくEPRのヒンクリーポイントC原子力発電所1、2号機(各172万kW)が、それぞれ2018年12月と2019年12月から建設中である。
(参照資料:カザフスタン・エネルギー省(カザフ語)の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)