原子力産業新聞

海外NEWS

韓国電力 トルコにAPR1400の建設を提案

01 Feb 2023

KEPCO社長とトルコ・エネ相が会談
©Korea Electric Power Corp.

韓国電力公社(KEPCO)によると、チョン・スンイル(鄭升一)社長兼CEO130日、トルコでエネルギー・天然資源省のF.ドンメズ大臣と会談し、同国の2つ目の原子力発電所として韓国製第3世代PWRの「改良型加圧水型炉(APR1400)」(140kW)を建設する予備提案書を提出した。

発表文の中でKEPCOは建設サイトや基数に触れていないが、現地の報道では「トルコ北部のサイトで4基建設する」ことを提案したと伝えられている。この提案書に基づき、今後は両者が本格的な協議を開始し、プロジェクトの実行可能性を共同で調査する。最適な事業推進プランも作成する方針で、採用技術や資金調達方法などの点で合意した場合、実施に向けた覚書を締結すると見られている。

KEPCOの説明によると、予備提案書の提出は昨年12月にトルコ側から協議の最初の段階として要請されたもの。KEPCO社長とトルコ・エネ相の会談では、韓国がトルコの原子力発電プロジェクトに参加する件について協議し、建設プロジェクトを進めるための手続きやリスクなど、主要項目についても話し合われた。予備提案書の中でKEPCOは、原子力発電所建設に関する優れた能力を韓国が有していると紹介したほか、建設プロジェクトの事業構造や建設期間、技術移転等について説明している。

チョン社長はまた、トルコ訪問に先立つ116日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されたバラカ原子力発電所(APR1400×4基)関係のイベントに参加した。これにともない、「韓国製のAPR1400UAEも含めた国内外で10基が安定的に建設・運転されており、技術力と安全性は十分に証明されている」と指摘。近年、西側諸国で建設されている最新設計の原子力発電所のうち、所定の予算内でスケジュール通りに建設を進め、顧客の信頼を得ているのはKEPCOだけだと強調している。

トルコでは現在、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が地中海沿岸のアックユで、20184月から120kWのロシア型PWRVVER-1200)を4基建設中。黒海沿岸のシノップでも、日仏の合弁企業が一時期、110kWPWR4基建設する計画を進めていたほか、2012年には北西部のイーネアダで3つ目の原子力発電所を建設する計画が浮上。中国の国家核電技術公司(SNPTC)がウェスチングハウス社との協力により、AP1000技術に基づく原子炉4基を建設する方向で、2016年にトルコ側と議定書を締結している。

一方の韓国では、20225月に発足したユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が前政権の脱原子力政策を撤回。2036年までに原子力発電シェアを約35%まで増加させるエネルギー政策を公表したほか、原子力輸出については2030年までに10基の輸出を実現すると表明している。

(参照資料:KEPCOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA131日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

cooperation