仏・印・UAE 原子力分野を含む3国間協力で合意
08 Feb 2023
昨年9月にニューヨークで初顔合わせした際の3相 ©Dr. S. Jaishankar
フランスとインドおよびアラブ首長国連邦(UAE)の3国は2月4日に共同声明を発表し、原子力をはじめとするエネルギー分野や地球温暖化対策等、様々な分野で3国が協力プロジェクトの実施に向けた協議を行う場としてイニシアチブを立ち上げたことを明らかにした。
共同声明は、フランスのC.コロナ欧州・外務相とインドのS.ジャイシャンカル外相、およびUAEのシェイク・アブダッラー・ビン・ザーイド外務・国際協力相が、同日の電話会談で最終決定した。「3国間協力イニシアチブ」は、3国がプロジェクトで協力を拡大する基盤になるほか、インドが今年9月に議長国としてニューデリーで開催する「主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)」や、UAEがドバイで議長国を務める11月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)等の場で、3国共同の様々なイベントを運営する。
共同声明によると、3国の外相は昨年9月に米ニューヨークで開催された国連総会に合わせて初会合。国際社会の安定と繁栄の促進という目標を共有し、これまでに築かれた建設的な協力関係をさらに発展させることで合意。3国間の正式なイニシアチブを通じて、相互に利益が得られる分野に協力を拡大することになった。
4日の電話会談では、エネルギー分野の協力でも特に、太陽光と原子力に関する協力プロジェクトの実施や地球温暖化対策、またインド洋地域における生物多様性の保護に集中的に取り組む方針で見解が一致。クリーンエネルギーの開発や環境の保全等を目的とした具体的かつ直ちに実行可能なプロジェクトの実施に向け、環インド洋(地域協力)連合(IORA)とも協力の可能性を探ることになった。
「3国間協力イニシアチブ」ではまた、3国の開発機関による協力の拡大に加えて、2020年以降の温室効果ガス排出削減の新たな国際枠組みであるパリ協定の目標達成に向け、経済面や社会面、および技術面の政策遂行で連携を強めていくとしている。
UAEでは現在、初の原子力発電所として2012年7月から韓国製PWRを備えたバラカ発電所を建設しており、1、2号機はそれぞれ2021年4月と2022年3月から営業運転中。3号機も2022年10月に送電を開始したほか、4号機の建設工事も最終段階に入っている。
一方、インドの商業炉は出力が最大でも70万kW級という国産加圧重水炉(PHWR)が中心で、大型軽水炉としてはロシア製の2基が稼働中のほか、4基が建設中。2010年にフランス製の欧州加圧水型炉(EPR)建設に向けて印仏両国が枠組み合意に達したが、事故発生時のベンダー責任など様々な理由から欧米諸国の原子炉導入は進んでいない。
(参照資料:フランスの欧州・外務省(フランス語)、UAE国営通信WAMの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)