ボーグル3、4号機の送電開始時期をさらに延期
21 Feb 2023
3号機のタービン建屋内 ©Southern Company
米サザン社は2月16日、子会社のジョージア・パワー社がジョージア州で建設しているボーグル原子力発電所3、4号機(各ウェスチングハウス社製AP1000、110万kW)の送電開始時期の延期を発表。3号機は今年の5月あるいは6月に、4号機は今年の第4四半期後半~2024年第1四半期の終わりに延期された。
これは同日に開催されたサザン社の決算報告会で明らかにされた。同社は先月上旬、証券取引委員会(SEC)に提出した報告書の中で、「3号機の運転開始前試験と起動試験の際に冷却系配管の一部に振動が認められたため、今年の第1四半期(2023年1月~3月)に予定していた3号機の送電開始時期を、今年4月に延期する」と明記。
今回、その修理が完了したことを明らかにする一方、起動試験中に新たに生じた課題の改善作業を追加で実施中だと表明。先月の見通しから計画をさらに1~2か月後ろ倒しすることになったもので、同機で最初の臨界条件を達成するのは今年3月か4月中になるとしている。
報道によると、サザン社のT.ファニング会長兼CEOはこの件について、「長期にわたり3号機に最高のパフォーマンスを発揮させるため、もう少し時間をかけてこの課題に取り組み、関係リスクを軽減する」と説明しているようだ。新たに生じた課題としては、一部のバルブの漏れや冷却材ポンプの流量問題などと伝えられている。4号機についても、同社は3号機で得られた教訓を生かし、試験段階に入る際に同様課題の発生を防ぐ方針と見られている。
同CEOは去年4月の段階で、「様々な課題に直面しているため追加の工期やコストもかかるが、当社が最優先としているのは3、4号機を安全に稼働させることだ」と表明。「スケジュールを守るために安全性や品質を犠牲にするつもりはないし、完成すれば信頼性の高い無炭素電源として、今後60年から80年にわたり顧客にエネルギーを供給できる」と述べていた。
今回の延期と残りの作業等により、この建設プロジェクトに45.7%出資しているジョージア・パワー社の負担分は2億100万ドル増加する見通し。同プロジェクトにそれぞれ30%と22.7%、および1.6%出資しているオーグルソープ電力とジョージア電力公社(MEAG)およびダルトン市営電力にも、出資比率に応じた影響が及ぶと見られている。
ボーグル3、4号機の建設プロジェクトは米国で約30年ぶりとなる原子力発電プラントの新設計画で、それぞれ2013年3月と11月に本格着工した。3号機では2020年10月に冷態機能試験が、2021年7月には温態機能試験が完了。2022年8月に原子力規制委員会(NRC)が同機への燃料装荷と運転開始を許可したことから、ジョージア・パワー社は同年10月に燃料を装荷している。
今回の発表でサザン社は、4号機についても冷態機能試験が昨年12月に完了した事実に言及。現在は機器・システムの試験を実施中で、最新のタイムスケジュールは残りの作業量とこれまでの経験に基づいていると説明した。
(参照資料:サザン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)