米ニュースケール社 SMR発電所の長納期品を発注
14 Mar 2023
「VOYGR」の完成予想図 ©NuScale
米国のニュースケール・パワー社は3月9日、同社製小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を備えた最初の発電所建設に向けて、昨年末に最初の長納期品(LLM)製造を韓国の斗山エナビリティ社に発注しことを明らかにした。
これは昨年4月に両社が締結した契約に基づくもので、その際ニュースケール社はLLM発注の準備として、原子炉圧力容器(RPV)の上部モジュール製造に必要な鍛造金型の作製を斗山エナビリティ社に依頼。その後この鍛造金型が完成したことから、斗山エナビリティ社は今回の受注でRPV上部モジュールを構成する大型鍛造品や蒸気発生器(SG)の配管、溶接材など、6基分の総重量2,000トンを超える機器を製造する。
ニュースケール社初のSMR発電所は、ユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)が米アイダホ国立研究所(INL)の敷地内で、1モジュールの出力が7.7万kWのNPMを6基備えた発電設備「VOYGR-6」(46.2万kW)として建設する。最初のモジュールを2029年までに完成させるため、UAMPSは2024年の第1四半期を目途に建設・運転一括認可(COL)を原子力規制委員会(NRC)に申請し、2026年前半に認可を受け着工したいとしている。
NRCは出力5万kWのNPMについて、2020年8月にSMRとしては初となる「標準設計承認(SDA)」を発給した。その後、最後の規制手続として「最終規則」の策定が完了したことから、今年1月にはSMRとして初の「設計認証(DC)」を発給している。ニュースケール社も同月、出力7.7万kWのNPMでSDAの取得申請をNRCに対して行った。
ニュースケール社のJ.ホプキンズ社長兼CEOはLLMの発注が最終決定したことについて、「当社のSMR開発がモジュールの製造段階に移行したことを意味しており、2020年代終わりまでに最初のNPM完成が現実的となるなど、SMR市場における当社の主導的地位が一層鮮明になった」と強調している。
両社はまた、将来的に実施する「VOYGR」建設プロジェクトについても、今回と同様の納期でモジュール製造が可能になるよう調整中であることを明らかにした。
(参照資料:ニュースケール社、斗山エナビリティ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)