台湾の國聖2号機が永久閉鎖
20 Mar 2023
國聖原子力発電所 ©台湾電力
台湾電力は3月14日、台北に近い國聖原子力発電所2号機(BWR、103.4万kW)を永久閉鎖した。同機は40年の運転期間を満了した。
翌15日から同機は廃止措置期間に入っており、行政院の原子能委員会(AEC)は閉鎖後も同機が安全要件を満たしているか引き続き監督する。台湾電力の廃止措置計画では、25年間以内に廃止措置を完了する予定である。
AECによると、國聖発電所の使用済燃料貯蔵プールはほぼ満杯であるため使用済燃料を直ちに取り出すことができない。AECは同様の状況にある原子炉の国際的な管理方法を参照して、対応する方針だという。
台湾では2016年に民進党の蔡英文総統が就任し、脱原子力に向けたエネルギー政策を立案。立法院は翌2017年1月、「非核家園(原子力発電のないふるさと)」を2025年までに実現するという方針を電気事業法改正案に盛り込み可決したが、2018年11月の公民投票により「2025年まで」という期限は条文から削除されている。
非核家園を目指す方針はその後も維持されており、台湾電力は2018年12月に台湾の商業炉として初めて、金山1号機(BWR、66.6万kW)を閉鎖したほか、翌2019年7月には同2号機(BWR、66.6万kW)を閉鎖。國聖1号機(BWR、102.7万kW)については、40年の運転認可が満了する約半年前の2021年7月に閉鎖している。
台湾電力は、國聖2号機の閉鎖にともなう電力不足への懸念に対し、電源開発と送電網の整備に関する長期計画で対応中だと説明。原子力以外の発電設備の年次メンテナンス期間や発電スケジュールを事前に調整し、3月末までに石炭や天然ガスなどの火力で中型と大型のユニットを複数、保守点検から復帰させる。4月にはさらに複数基が再稼働するため、これらの総設備容量は國聖2号機の出力を上回るとした。
また、天然ガス火力はCO2の排出量が少ないことから設備の新設を積極的に推進しており、現在5カ所のプロジェクトを同時並行的に進めている。送電網の整備も引き続き強化中で、台湾電力は過去5年間に合計1,000億元(約1兆6,900億円)以上を送電網の改善に投資した。これにより、自然災害や故障等による配電事故や停電件数も、2015年の約15,000件が2022年には約5割減少し、約8,000件になったと強調している。
國聖2号機の閉鎖により、台湾で稼働可能な商業炉は馬鞍山原子力発電所の2基(各PWR、約100万kW)のみとなった。建設中だった龍門原子力発電所については、反原子力運動の高まりを受けて国民党の馬英九・前政権が2015年7月、ほぼ完成していた1号機(ABWR、135万kW)を密閉管理としたほか、2号機(ABWR、135万kW)の建設工事を2014年4月に凍結している。
(参照資料:原子能委員会、台湾電力の発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)