エジプト規制当局 エルダバ3号機の建設許可発給
03 Apr 2023
エルダバ3号機の建設サイト ©NPPA
エジプトの原子力・放射線規制機関(ENRRA)は3月29日、原子力発電庁(NPPA)が同国初の原子力発電所として建設中のエルダバ発電所(120万kWのロシア型PWR:VVER-1200×4基)について、3号機の建設許可を発給した。
これにともない、NPPAは今年の第2四半期中に3号機のコンクリート打設実施に向けて、準備作業を開始する。
同発電所では現在、建設工事を請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社を通じて、第3世代+(プラス)の原子炉となる4基のうち1、2号機を、それぞれ2022年7月と11月に着工。NPPAは同型設計の3、4号機の建設許可を2021年12月末に申請しており、ENRRAは申請書の審査と並行して今月11日から17日にかけては建設サイトを視察した。
ENRRAは自らの規制要件や国際的な安全要件の順守状況など、3号機の建設準備ができているか包括的に点検した結果、ENRRAは建設工事が環境に悪影響を及ぼさないこと等を確認。ENNRA理事会のS.シャバーン会長が建設許可発給の判断を下している。
エルダバ発電所の建設サイトは首都カイロの北西300km、地中海沿岸のエルダバ市域に位置しており、エジプトとロシアの両国政府は2015年11月に同発電所の建設に関する政府間協力協定(IGA)を締結。翌2016年5月にロシア政府は、最大250億ドルの低金利融資(年3%)をエジプトに提供するという大統領令を公布した。
2017年12月には、エジプト政府とロスアトム社がエルダバで4基のVVER-1200 を建設するパッケージ契約の最終文書に調印。この契約に基づき、ロシア側は発電所を建設するだけでなく、発電所が稼働する60年間に必要な原子燃料をすべて供給する。また、使用済燃料の貯蔵施設や貯蔵キャスクをエジプト側に提供するほか、運転開始後最初の10年間は人材育成や発電所の運転・保守にも協力する。
なお、エジプト初の商業炉となる1号機については2028年の営業運転開始が見込まれており、3月21日にロシアのサンクトペテルブルク港からコア・キャッチャーの主要機器3点が到着した。
コア・キャッチャーは、先進的な技術を採用したVVER-1200の受動的安全系の中でも重要設備の一つ。ASE社で同プロジェクトを担当するG.ソスニン副総裁は、「これらの機器を通じて、世界で最も安全な原子力発電所を確実に建設する」と強調した。また、大型重量機器がサイトに運び込まれたのは初のこととなるため、NPPAで発電所の運転・保守を担当予定のM.ラマダン副長官は、「コア・キャッチャーは長納期品としても最初のものであり、建設プロジェクトは大きな節目を迎えた」と指摘している。
(参照資料:NPPAの発表資料①、②、ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)