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ベルギーのトラクテベル社 EDFが主導するSMR開発への協力を強化

21 Jun 2023

トラクテベル社とNUWARD社の協定締結式 ©Tractebel

ベルギーの大手エンジニアリング企業トラクテベル社は615日、フランス電力(EDF)が中心となって進めている小型モジュール炉(SMR)「NUWARD」開発への協力を強化・延長するため、EDFグループ内でSMR事業を担当するNUWARD社と枠組み協力協定を締結した。

トラクテベル社はフランスに基盤を置く電気・ガス事業者エンジー(Engie)社の傘下企業で、原子炉の設計や建設、運転におけるトラクテベル社とEDFグループの協力はフランスの国内外で50年以上に及んでいる。同社は2021年から欧州初のSMRとなる「NUWARD」の開発プロジェクトで概念設計作業に貢献。基本設計段階では、原子炉系やタービン系の作業にも協力している。20225月には、仏トゥールにあるEDFのエンジニアリング・センター(CNEPE)から「NUWARD」の概念設計調査を受注している。

EDFは20199月、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)と政府系造船企業のネイバル・グループ、および小型炉専門開発企業のテクニカトム社と共同開発したSMRNUWARD」を発表した。同炉はフランスで50年以上の経験が蓄積されたPWRベースで、出力17kWの小型PWR×2基で構成される「NUWARD」プラントの合計出力は34kW。実現すれば高圧送電網から外れた遠隔地域の需要に応えるとともに、老朽化した火力発電所をリプレースする。また、水素製造や地域熱供給、脱塩などにも応用できるとしている。

NUWARD社は、これらの目標達成を目指してEDFが今年3月に発足させた100%子会社で、同炉の基本設計と予備的な許認可手続きの作業を開始。2025年からは詳細設計と正式な許認可手続きを行う予定で、2030年までにフランス国内で実証炉着工を目指している。

NUWARD社の今回の発表によると、同社が発足したことにより開発プロジェクトのスタッフが大幅に増員。トラクテベル社も同炉の開発に長期的に協力していくことを決め、原子力エンジニアリング関係の一層多くの資源を同プロジェクトに投入する。すでに同社から約50名のエンジニアがプロジェクトに携わっており、今後数年間でこの人数は倍増する見通しである。

トラクテベル社でグローバルな原子力事業を統括するD.デュモン最高責任者は、「過去5年にわたりSMRの技術革新を主導してきた経験から、当社は欧州その他の世界がクリーン・エネルギーに移行する際、この技術が中心的な役割を担うと確信している」と表明。NUWARD社と結んだ協力協定を通じて、同社はフランスの外側から「NUWARD」の開発を支援し、重工業や石炭火力発電所等の脱炭素化にSMR技術が活用されるよう、また、CO2排出量が実質ゼロになるよう、これまでの経験を生かしていきたいと述べた。

(参照資料:トラクテベル社NUWARDの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA619日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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