韓国 原子力などでポーランドと経済協力強化
21 Jul 2023
現代建設社と米国およびポーランドの企業が締結したSMR協力の予備的合意文書調印式 © Grupa Azoty
韓国産業通商資源部(MOTIE)は7月14日、ポーランドのワルシャワで「韓国-ポーランド・ビジネスフォーラム」を開催し、原子力など複数分野における両国企業の協力に向け、33件の了解覚書を交わしたと発表した。
同フォーラムの開催はユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領のポーランド訪問に合わせたもので、両国の政府関係者や企業、経済団体等から約350名が参加した。MOTIEのイ・チャンヤン長官とポーランド経済開発技術省のW.ブダ大臣が同席して、バッテリーなどの先端産業やロボット、機械、鉄道などの製造業、研究開発等の分野で11件、原子力や水素製造などの低炭素エネルギー、ウクライナの再建協力、基盤施設等のインフラ関係の分野で13件、金融や観光、人材交流等の新しい分野で9件の覚書を締結した。
これにより、韓国は原子力や先端産業など既存の協力分野で具体的な成果を目指すとともに、経済協力の多様化と高度化を図ることにより、将来的な互恵協力の基盤を築いたと強調している。
原子力分野の了解覚書は合計6件で、これには斗山エナビリティ社や韓国水力・原子力会社(KHNP)など、ポーランド中央部ポントヌフにおける韓国製140万kW級PWRの建設プロジェクトに関係する企業が含まれるようだ。また、このうち1件は、ポーランドが計画する米国製小型モジュール炉(SMR)建設事業に現代E&C(現代建設)社が加わるというもの。
ポーランドの化学品メーカーであるグルパ・アゾティ・ザクワディ・ヘミツィネ・ポリツェ(Grupa Azoty Zakłady Chemiczne Police S.A.)社は、米ウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)が開発した「マイクロ・モジュラー・リアクター(MMR)」(熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kW)の国内建設を計画しており、この日現代建設を加えた3社が、協力のための予備的合意文書を締結した。
グルパ・アゾティ社は、ポーランド北西部の西ポモージェ県にあるポリツェ町を本拠地としており、窒素肥料の製造などポーランドの化学産業用および水素製造として、SMRに基づくエネルギー・システムを建設する。自社電源の脱炭素化を図りつつ、無炭素エネルギーを確保することは同社の2030年までの戦略にも明記されている。このように同社は、ポーランドでは政府レベルのみならず、製造業レベルでも化石燃料を無炭素電力に置き換えるなど、クリーン・エネルギーへの移行が進展中だと強調した。
今回の3社合意により、ポーランドではMMR建設の許認可手続きの進展が期待される。現代建設は産業用エネルギー技術のインテグレーターでもあるため、USNC社およびグルパ・アゾティ社と緊密に協力して原子力の無炭素な電力で水を電気分解、水素の抽出技術を開発するとしている。
(参照資料:MOTIE ①、②(韓国語)、現代建設(韓国語)、グルパ・アゾティ社(ポーランド語)、USNC社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)