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フランス 3番目のEPR2建設サイトにビュジェイを選定

26 Jul 2023

ビュジェイ原子力発電所 ©EDF

フランスのE.マクロン大統領は719日、自らが議長を務める閣僚級の「原子力政策審議会(CPN)」を招集し、改良型欧州加圧水型炉(EPR2)を建設する国内3番目の地点として東部のビュジェイ原子力発電所(PWR×4基、各90kW級)を選定した。

EPR2を2基ずつセットで建設する最初の3地点として、フランス電力(EDF)が20215月に政府に提案した既存の原子力発電所のうち、最初の2基を建設するオー=ド=フランス地域圏(州)のパンリー発電所と、次の2基を建設する同地域圏のグラブリーヌ発電所はすでにCPNが承認済み。3セット目のEPR2 を建設する候補地点として、EDFはオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏内のビュジェイ発電所、あるいはトリカスタン発電所を提案していた。

同大統領は20222月に東部のベルフォールで演説した際、フランスのCO2排出量を2050年までに実質ゼロ化し国内の原子力産業を再活性化するため、国内で6基のEPR2を新たに建設するほか、オプションとしてさらに8基の建設に向けた調査を開始すると発表。今回のCPNで地元議員の支援を受けたビュジェイ発電所が選定され、第一段階で建設する合計6基の地点が決定した。一方、CPNは今後もトリカスタン発電所で新規原子炉を建設する可能性について、技術面の調査・分析活動を継続する方針である。

フランスでは今年5月に議会が原子炉新設手続きの迅速化法案を可決し、623日付で発効した。EDFはこれを受けて、同月29日にパンリー発電所でEPR22基増設するための設置許可申請書(DAC)を規制当局に提出した。CPNの今回の審議では、2025年までにこれら2基の関係作業を開始するというスケジュールに合わせるため、様々な手続きが進展中であることを確認している。

CPNではこのほか、同国の原子力研究の主導・調整役として中心的役割を担うフランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)のスタッフを大幅に増員し、その民生用原子力部門の研究施設を刷新すると決定した。優秀な人材を新たに呼び込み、既存の原子力発電所で高いレベルの安全性を保証するとともに、EPR2や先進的な小型モジュール炉(SMR)など最新技術の原子力発電所を建設。これらを通じて、発電所の運転期間延長にともなう様々な課題の解決に向けた研究も強化されるとしている。

CPNはさらに、議会付属の科学技術選択評価局(OPECST)が報告書の中で、原子力安全と放射線防護の両面を、独立の立場で管轄する規制当局の創設を勧告している点に注目。現行の原子力安全規制当局(ASN)、およびその技術的支援機関である放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の使命や人的資源をすべて温存しながら、新当局の創設方向に進んでいきたいとする政府の意向をCPNは確認。その上で、秋までに関係法案の準備を整えるため、関係者や議会と協議を始めるようエネルギー移行省に指示している。

(参照資料:原子力政策審議会(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA725日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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