ボーグル3号機が営業運転開始 米国初のAP1000
01 Aug 2023
ボーグル3号機 ©Georgia Power
米ジョージア・パワー社は7月31日、ジョージア州内のA.W.ボーグル原子力発電所で建設中だった3号機(PWR、110万kW)が、同日付で営業運転を開始したと発表した。同機は今年3月に初臨界に達した後、4月に送電網に接続されていた。建設費の高騰やスケジュールが6年以上遅延するなど難産ではあったが、米国でようやくウェスチングハウス(WH)社製の第3世代+(プラス)PWRのAP1000が本格稼働した。
米国で新たに着工した商業炉としては、約35年ぶり。建設工事と各種試験が最終段階に入った同型の4号機は、早ければ年末に起動できる見通しだ。
ボーグル3、4号機はジョージア州内の4社が共同保有しており、ジョージア・パワー社が45.7%、オーグルソープ電力が30%、ジョージア電力公社(MEAG)が22.7%、ダルトン市営電力が1.6%それぞれ出資。米エネルギー省(DOE)から83億3,000万ドルの政府融資保証適用を受けた唯一の新設プロジェクトとして、3、4号機はそれぞれ2013年の3月と11月に本格着工しており、当時は2017年と2018年の完成を予定していた。
一方、サウスカロライナ州では、これらとほぼ同時期にスキャナ社とサンティー・クーパー社がV.C.サマー原子力発電所で、同じくAP1000を採用した2、3号機を着工したが、2017年3月のWH社の倒産申請を受けて同プロジェクトは中止となった。ボーグル発電所では、サザン社のもう一つの子会社で3、4号機の運転会社となるサザン・ニュークリア社が、WH社からプロジェクト管理を引き継いで建設工事を継続。この間、ジョージア・パワー社は2020年4月、新型コロナウィルスによる感染の影響を軽減するため、建設サイトの労働力を約20%削減している。また2021年7月末に3号機の温態機能試験が完了したものの、翌8月に原子力規制委員会(NRC)から「安全系に係わる電気ケーブルの配管が正しく設置されていない」と指摘されたこともあり、運転開始スケジュールは徐々に先送りされている。
3号機ではその後、安全性と品質に関する398項目の厳しいチェックが行われ、サザン・ニュークリア社のチームは2022年7月、「(同機が)運転開始前の検査や試験、解析等に関する基準(ITAACs)をすべて満たした」とする文書をNRCに提出した。NRCは同文書およびその他の提出物を厳格に審査した結果、「3号機が建設・運転一括認可(COL)とNRCの規制どおりに建設され、運転も行われる見通し」と確認。同年8月にその確認事項書「103(g)」をサザン・ニュークリア社に送付し、同機の燃料装荷と起動を許可していた。
ジョージア・パワー社は今回、4号機についてもサザン・ニュークリア社が前の週にNRCから「103(g)」を受け取ったことを明らかにしている。4号機は今年5月に温態機能試験を完了しており、建設サイトにはすでに同機用の初装荷燃料集合体157体も到着。現在の日程では、今年の第4四半期後半、あるいは2024年の第1四半期に同機の運転を開始する見通しである。
(参照資料:ジョージア・パワー社、WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)