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米ボーグル4号機、燃料初装荷

21 Aug 2023

ボーグル4号機 ©Georgia Power

米サザン社の子会社であるジョージア・パワー社は817日、ジョージア州のA.W.ボーグル原子力発電所で、ウェスチングハウス(WH)社製の第3世代+(プラス)原子炉AP1000として建設中の4号機(PWR110kW)で燃料装荷を開始した。157体の燃料集合体はWH社がサウスカロライナ州の工場で製造したもので、数日間で装荷を完了するとしている。

同発電所では先月31日、米国で約35年ぶりに本格着工した同型の3号機(PWR110kW)が営業運転を開始。4号機でも燃料の装荷後は、起動試験で一次冷却系や原子力蒸気供給系が設計通りの温度や圧力で動くことを実証し、様々な出力レベルで試運転を実施する。ジョージア・パワー社は、今年の第4四半期か2024年の第1四半期には同機で送電が可能になると予想。同社と両機を共同保有する3社のうち、オーグルソープ電力は「これらの試験が首尾よく進めば、現時点のスケジュールどおり20243月に営業運転が開始される」と述べた。

同発電所では、すでにWH社製PWR12号機(各121.5kW)が稼働していることから、4基が揃えば同発電所は米国でも最大規模となる。34号機だけでもそれぞれ、50万戸の世帯や企業に無炭素で安全、安価な電力を十分供給できるとジョージア・パワー社は強調している。

米国初のAP1000であるボーグル34号機は、20133月と11月にそれぞれ本格着工したが、20173月にWH社が倒産申請したのを受けて、サザン社のもう一つの子会社で34号機の運転を担当予定のサザン・ニュークリア社がWH社からプロジェクト管理を引き継いだ。また、2020年には新型コロナウイルスによる感染の影響を軽減するため、建設サイトの労働力を約20%削減するなど、プロジェクトは様々なトラブルに見舞われたが、4号機では今年3月から5月にかけて温態機能試験を実施。7月末には米原子力規制委員会(NRC)から、「同機は建設・運転一括認可(COL)が認定した基準とNRCの規制通りに建設され、運転も行われる見通し」だとする確認事項書「103(g)」がサザン・ニュークリア社に到着。これにより、同機では実質的に燃料の装荷と起動が許可されていた。 

WH社によると、AP1000はすでに中国・浙江省の三門発電所と山東省の海陽発電所で、合計4基が2018年以降順次営業運転を開始。ボーグル34号機はこれらに続いて、世界で5基目と6基目のAP1000となる。中国ではまた、中国版のAP1000となる「CAP1000」や「CAP1400」が合計6基、三門と海陽、および山東省の栄成石島湾発電所で建設中である。さらに、ポーランドなどの中・東欧地域やウクライナでも複数基のAP1000建設が計画されている。

(参照資料:ジョージア・パワー社オーグルソープ電力WHの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA818日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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