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英国 ウクライナ発電所の原子燃料確保で1.9億ポンドの融資保証提供

24 Aug 2023

キーウを訪問した英DESNZのシャップス大臣(=中央) ©UK Government

英国政府は823日、ウクライナの原子力発電所における原子燃料確保を支援するため、英国輸出信用保証庁(UKEF)を通じて19,200万ポンド(約354億円)の融資保証をウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社に提供すると発表した。

UKEFとエネルゴアトム社が今回締結した合意文書に基づき、ロンドンを本拠地とするウラン濃縮サービス企業のURENCO社が、ウクライナ国内の原子力発電所向けに引き続き濃縮ウランを供給する。ウクライナが冬季に向けて十分な電力を原子力発電所で確保し、ロシア産燃料への依存から脱却することや、プーチン大統領を国際的な原子力市場から締め出すことが目的である。

英国政府はこのほか、ウクライナのエネルギー部門が将来的にクリーン・エネルギーに移行するための協力覚書を同国と締結している。

英国政府の今回の発表に先立ち、エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)のG.シャップス大臣は22日にウクライナの首都キーウを訪問。ウクライナの副首相やエネルギー大臣など複数の政府高官、エネルゴアトム社のP.コティン総裁を含むエネルギー企業の要人らと、同国の復興に向けた英国の支援について協議。また、ロシアの砲撃を受けて修理中の発電所や幼稚園なども視察した。

今回の英国の支援決定は、英国とウクライナの両政府が今年6月、ロンドンで「ウクライナ復興会議」を共催してからわずか2か月後のこと。両政府首脳はその際の共同議長声明で、支援国や機関がウクライナに新たに総額600億ドル(約85,800億円)を拠出することで合意したと表明。英国政府はまた、今年4月に日本政府が札幌で開催したG7気候・エネルギー・環境大臣会合でも、原子力分野におけるロシアへの依存を低減し設備・機器や燃料の供給源を多様化する協力で、参加した英、米、仏、加、日の5か国が合意した事実にも今回触れている。

今回の支援が実行されれば、英国がウクライナに提供する民生向け支援金は総額50億ポンド(約9,220億円)に達する見通し。原子力はウクライナの総発電量の半分以上を供給していることから、英国はウクライナが必要とする電力の確保を引き続きサポートし、エネルギー供給保証の強化に協力していく考えだ。DESNZのシャップス大臣は、「プーチンはエネルギーを戦争兵器として利用しているが、その野蛮な侵略に直面するウクライナへの我が国の支援は揺るがない」と強調した。

URENCO社のB.シューヒトCEOは、エネルゴアトム社に対する2009年からの濃縮サービス提供など、既存の契約を挙げた上で、「ウクライナ支援で今後も責務を果たす準備は出来ている。このためには、今回のような英国政府との協力が不可欠だ」と指摘している。

(参照資料:英国政府URENCOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA823日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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