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スロバキア ロシア型原子炉向け燃料を米WH社が供給へ

28 Aug 2023

協力合意書に調印するSE社とWH社の幹部。
© Slovenské elektrárne

スロバキア政府が34%出資するスロバキア電力(SE社)は825日、国内で所有・運転している44kW級ロシア型PWRVVER-440)の原子燃料調達先を多様化するため、米ウェスチングハウス(WH)社と長期的に協力していくための合意文書を交わした。

SE社は現在、スロバキアの総発電量の約70%を供給しており、合計4基のVVER-440(合計出力200万kW)が稼働するボフニチェとモホフチェの両原子力発電所だけで、総発電量の約59%を賄っている。また、モホフチェ発電所では追加の2 (VVER-440)を建設中[1]建設中の2基のうち、モホフチェ3号機(VVER-44047.1kW)は2023131日に送電を開始した。で、これらが運転を開始し西部ノヴァキーにある褐炭発電所が年末に閉鎖されれば、原子力の発電シェアはさらに拡大する見通し。これらの原子炉が必要とする原子燃料および関連サービスを確保するため、SE社は今回国際入札を通じてWH社を選定。これにより、スロバキアのエネルギー供給保証を一層強化する考えだ。

WH社は今回の合意に基づき、スウェーデンにある燃料製造工場でスロバキア向けの原子燃料を製造・供給する予定だが、その前にスロバキアの法律に基づく許認可手続きで、これらの原子炉がWH社製原子燃料で安全に稼働できると承認されなければならない。このため、同社から実際に最初の原子燃料が納入されるのは、この承認を得てから約1年後になるとしている。

SE社は原子燃料の調達先を段階的に多様化する戦略の基本方針として、世界中の燃料サプライヤー・チェーンの中から少なくとも2社の供給企業を選定。関係資機材とサービスについても、供給可能な企業を数社確保するとしており、そのための様々な取り組みや協力を推進中である。

今年5月には、同社は仏フラマトム社とも同様の協力覚書を締結している。フラマトム社はその際、「近年の国際情勢の中で、SE社も含め欧州でVVERを運転するすべての電気事業者から欧州独自の原子燃料を開発するよう要請された」と表明。ロシアが供給する燃料への依存を軽減し、燃料の途絶により欧州のVVERが運転停止することが無いよう、欧州が主体的に運営できる燃料供給体制を築くと述べていた。

SE社のB.ストリーチェク会長兼CEOは、「原子力はスロバキアのエネルギー・ミックスの重要な柱であり、原子燃料の供給企業を追加で確保できたことは非常に重要だ。これらが供給する燃料で、原子力発電所を安定的に運転していく」と述べた。

WH社のT.チョホ燃料担当社長は、「スウェーデンの燃料製造工場で完全に西欧製の原子燃料をVVER用に製造・提供して、古くからのパートナー企業であるSE社の原子燃料調達先の多様化戦略に貢献し、協力関係を強化できることは喜ばしい」と表明している。

(参照資料:SEWHの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA825日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

脚注

脚注
1 建設中の2基のうち、モホフチェ3号機(VVER-44047.1kW)は2023131日に送電を開始した。

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