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加サスカチュワン州 SMRサプライチェーンの構築に支援金

29 Aug 2023

サスクパワー社が州内で建設を計画しているGEH社製「BWRX-300」発電所の完成予想図 
©GE Hitachi Nuclear Energy

カナダ・サスカチュワン州が所有するクラウン・インベストメント・コーポレーション(CIC)は824日、同州内で小型モジュール炉(SMR)のサプライチェーンを構築するため、「サスカチュワン産業鉱業サプライヤー協会(SIMSA)」に総額479,000カナダドル(約5,157万円)の支援金を提供すると発表した。

SIMSAの会員企業やパートナー企業が同州やカナダ国内、あるいは世界中で行われるSMRの開発事業に参加できるよう支援するのが目的で、CICは今後2年にわたり資金を提供する。具体的には、州内のSMRサプライチェーンに属するスペシャリストをSIMSAに迎え入れるほか、先住民電力公社(FNPA)にも資金の一部を提供して、先住民がカナダの電力部門で経済的利益を得る機会を模索。また、カナダ原子力産業機構(OCNI)が一部の州で、SMRサプライチェーン構築のために進めている「Ready4SMRプログラム」にも協力していく。

サスカチュワン州政府は、2030年までに州内の温室効果ガス排出量を2005年レベルから50%削減し、最終的には2050年までに実質ゼロ化を目指している。この目標の達成に向けた活動の一環として、同州はオンタリオ州およびニューブランズウィック(NB)州とともに201912月、出力変動が容易で革新的な技術を用いた多目的SMRを国内で建設する協力覚書を締結。20214月にはこの覚書にアルバータ州も加わり、これら4州は20223月にSMRを開発・建設していくための共同戦略計画を発表している。

その後、サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社は20226月、2030年代半ばまでに建設するSMRとしてGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を選定。州内の建設候補地2地点[1]南部ロアバーン地方自治体内のエルボー村、および南東部のエステバン市。2022年中に選定済みである。

SIMSAはサスカチュワン州内の製造や建設・エンジニアリングなどの産業部門、鉱業部門、エネルギー部門に属する300社以上のサプライヤーで構成される非営利団体。SIMSACICとの協力を通じて専門人材を集め、州内で原子力関係の製造能力や建設能力を有する企業を育成していく方針だ。

OCNIはカナダ原子力産業界の主要サプライヤー200社以上で構成される非営利団体で、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)や軽水炉の機器設備を設計・製造する企業やエンジニアリング・サービス企業などが参加している。OCNIが昨年夏に始動した「Ready4SMRプログラム」は、NB州など北東部の大西洋に面した4[2]ニューブランズウィック州、プリンスエドワード・アイランド州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州の4州。を中心に、地元企業が原子力産業に参入してNB州が州内で進めるSMR建設プログラムに参加するよう働きかけるプログラム。カナダ連邦政府も、大西洋地域開発庁(ACOA)を通じて同プログラムを支援している。

OCNIのB.ウォーカー理事長兼CEOは、「サスカチュワン州でSIMSAFNPAが当方の『Ready4SMRプログラム』に協力してくれるのは非常に有難く、世界中でSMRの建設計画を牽引するカナダの中でも、サスカチュワン州がクリーン・エネルギー・ミックス構想の一部としてSMR計画を実行することに期待する」と表明。「OCNIの役割はカナダ全体で原子力サプライチェーンを構築することだが、サスカチュワン州のようにすでにサプライヤーとしての確かな基盤を有する州にも、経済発展の機会をもたらしたい」としている。

(参照資料:サスカチュワン州政府SIMSAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA825日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

脚注

脚注
1 南部ロアバーン地方自治体内のエルボー村、および南東部のエステバン市。
2 ニューブランズウィック州、プリンスエドワード・アイランド州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州の4州。

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