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伊エジソン社 仏製SMRの建設に意欲

12 Oct 2023

EDFが中心となって開発中のSMR「NUWARD」 ©NUWARD

イタリアの電力会社で、フランス電力(EDF)のイタリア子会社でもあるエジソン社は104日、今後の同社の新しい展望として、2030年から2040年までの間に出力34kWの小型モジュール炉(SMR)プラントを国内で2つ、建設することに意欲を表明した。ただし、イタリアは1990年に脱原子力を完了しており、原子力の復活に向けた国内条件が整えばとの条件付きだ。

親会社のEDFは仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)などと協力して、欧州主導のSMRNUWARD」(出力17kWの小型PWR×2基)を開発中。エジソン社は「2040年までに自社電源の9割を脱炭素化する」ことを目指している。

エジソン社は2023年から2030年までに100億ユーロ(約15,800億円)を投資し、2022年の減価償却・控除前利益(EBITDA)である11億ユーロ(約1,740億円)を、2030年末までに20億~22億ユーロ(約3,170億~3,490億円)に倍増する方針。しかし、これには過去3年間の平均でEBITDA35%を占めていた「CO2をほとんど出さない発電」を70%に拡大するなど、電源ミックスの大幅な変更が必要。同社はこれまで力を入れていた再生可能エネルギーに加えて、CO2回収・貯留(CCS)や(条件が整えば)新世代の原子力を導入したいとしている。

原子力に関して同社は、欧州連合(EU)がCO2排出量の実質ゼロ化を達成する上で重要な役割を担うと評価。また、電力供給システムの安定化能力だけでなく、再生可能エネルギーの間欠性も補えることから、「CO2の排出量や設置面積が最も少ない電源の一つであり、合理的な発電が可能である」とした。さらに、新しい原子力技術のSMRなら熱電併給にも活用できるため、エネルギーを多量に消費する地区のニーズにも高い柔軟性を持って対応可能だと指摘している。

イタリアではチョルノービリ原子力発電所事故後の1987年、国民投票で既存原子炉4基の閉鎖と新規建設の凍結を決定。1990年に脱原子力を完了したが、2009年になるとEU内で3番目に高い電気料金や世界最大の化石燃料輸入率に対処するため、原子力復活法案が議会で可決している。しかし、2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて、同じ年の世論調査では国民の9割以上が脱原子力を支持。当時のS.ベルルスコーニ首相は、政権期間内に原子力復活への道を拓くという公約の実行を断念した。

近年は世界規模のエネルギー危機にともない、イタリアのエネルギー情勢も急激に変化。議会下院は今年5月、脱炭素化に向けた努力の一環として、イタリアの電源ミックスに原子力を加えるよう政府に促す動議を可決。9月に環境・エネルギー保障省が開催した「持続可能な原子力発電に向けた国家政策(PNNS)会議」の第一回会合では、近い将来にイタリアで原子力発電を復活させる可能性が議論されている。

(参照資料:エジソン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA106日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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