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カナダ SMR等で2州の石炭火力を廃止へ

18 Oct 2023

NB州のポイントルプロー原子力発電所 ©NB Power

カナダの連邦政府と北東部に位置するノバスコシア(NS)州およびニューブランズウィック(NB)州の両政府は1016日、これら2州の石炭火力発電所を2030年までに段階的に廃止しクリーンで安価な電源に移行するため、小型モジュール炉(SMR)等の活用を含めた政策を共同で進めていくとの声明を発表した。

カナダの送電網の脱炭素化は、経済面や環境面におけるカナダの基本目標であることから、連邦政府と2州は石炭火力の廃止に加えて2035年までに両州の発電部門から排出されるCO2を実質ゼロ化、2050年までには両州の産業全体からの排出量も実質ゼロとする方針だ。連邦政府はこれら2州のクリーン・エネルギーへの移行に合計で約2,000万カナダドル(約22億円)を支援する。

内訳として、NB州がポイントルプロー原子力発電所内で計画している米ARCクリーン・テクノロジー(ARC)社製SMRARC-100」(電気出力10kW15kW)の建設について、連邦政府は支援金として700万加ドル(約77,000万円)を提供すると表明。「ARC-100」については、NB州北部のベルドゥーン港湾管理局(BPA)もグリーン・エネルギー・ハブとなることを目指して導入を計画しているため、連邦政府はサイトの準備調査費用として約100万加ドル(約11,000万円)を提供する。

これら3者の共同声明は同日、連邦政府のエネルギー・天然資源相、公共安全・民主主義制度・州政府間関係相、住宅問題・インフラ・コミュニティ相のほか、NB州とNS州から両州の首相(知事)と天然資源関係の大臣を交えた協議の後に公表された。

3者の合意事項として、共同政策は二重(ツートラック)のアプローチで進めることになっており、まず2030年までの石炭火力廃止に向けて投資が必要な項目を特定。具体的には、NB州におけるSMRの建設やベルドゥーン石炭火力発電所のバイオマス発電への転換、NB州営電力が所有するマクタクアック水力発電所の運転期間延長、風力発電と太陽光発電設備の増設、NB州のポイントルプローからソールズベリおよびNS州のオンスローまでを結ぶ送電線の敷設などが挙げられた。

もう一方のアプローチとして、3者は2035年までに発電分野からのCO2排出量を実質ゼロ化する協力のなかで、特に重要となる分野を確認。NB州におけるSMR建設計画とNS州の海上風力発電計画を引き続き進めるほか、両州で再生可能エネルギー源と蓄電池の統合、スマートグリッドの管理ツールや水素にも対応する複数燃料混合発電機の開発などを実施する。また、連邦政府はカナダ・インフラ銀行の活用のほかに、クリーン・エネルギー源の開発や電化の促進に特化した複数の税額控除プログラム等を通して、財政支援を実施する。

3 者はさらに、2州の周辺に位置するケベック州やニューファンドランド・ラブラドール州、プリンスエドワード・アイランド州と送電網を結ぶことや、エネルギーを融通し合うための機会も模索。これに向けて、連邦政府と各州間のエネルギー協力イニシアチブである「地域エネルギー・資源テーブル(Regional Energy and Resources Tables)」を引き続き活用していく考えだ。

NB州のB.ヒッグス首相は今回、「脱炭素化等の目標を達成するには、連邦政府から多額の資金援助が無ければ不可能」と強調した。公共安全省のD.ルブラン大臣は、「NB州とNS州に周囲の2州を加えた大西洋岸の4州にとって、クリーン・エネルギーは莫大な経済的利益をもたらす可能性がある」と指摘。連邦政府はこれらの州との協力を継続し、一層クリーンで強靭な送電網を築く意向を示した。

(参照資料:カナダ政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA1017日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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