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加ブルース・パワー社 ブルース発電所での大型炉増設に向け関心企業を募集

19 Oct 2023

ブルース原子力発電所 ©Bruce Power

カナダのブルース・パワー社は1017日、オンタリオ州のブルース原子力発電所(CANDU炉×8基、各80kW級)で検討している計480kWの原子炉増設に向けて、関連企業から「関心表明(EOI)」の募集を開始したことを明らかにした。

EOIは、同増設計画への参加に関心を持つ原子力サプライヤーから、書面で申し込みを受ける。ブルース・パワー社は各炉型の技術的側面を評価するとともに、地元自治体への経済波及効果も考慮する。オンタリオ州政府は今年7月、ブルース・パワー社の既存サイトで約30年ぶりに大型炉を増設するため、同社と開発前段階の準備作業を開始すると発表していた。

今後ブルース・パワー社は、連邦政府の規制に基づき増設計画が及ぼす可能性がある様々な影響を、市民も交えて評価する。この影響評価(IA)手続きを正式に開始するため、今後数か月以内に「計画の当初説明書」をカナダ環境評価局に提出する計画だ。

同社はまた、IA手続きを進めるにあたり、ブルース発電所の所有者であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社や同州の独立系統運用者(IESO)、地元の先住民が保有する企業などと協力。OPG社とIESOEOIで得られた情報を基に、オンタリオ州における原子力発電の将来的な実行可能性調査を行う。同社はさらに、クリーン・エネルギー技術の事業展開機会を分析評価するため、独立の非営利組織である原子力技術革新協会(NII)や米電力研究所(EPRI)とも協働することを予定している。

EPRIのN.ウィルムシャースト上席副理事長は、「カナダの脱炭素化を支援する一環として、ブルース・パワー社の評価作業にも協力したい」と表明。「先進的原子力技術を採用することはCO2排出量の削減に有効であり、カナダ国民や世界中の人々にとって重要なエネルギーを生み出すことになる」と述べた。

ブルース・パワー社のM.レンチェック社長兼CEOは、オンタリオ州が2013年に州内の石炭火力発電所を全廃したことから、「世界で最もクリーンな送電網を持つ地域」と評価。同州では引き続き、電化と経済成長への需要が高まっていることから、「この優位な立場を維持していくためにも、当社は数十年にわたる原子力発電所の運転経験や、十分整備されたサイトと熟練の労働力、設備拡大に十分なスペース、周辺コミュニティの強力な支持といった好条件に支えられて、原子力設備の増設を進めていく」としている。

(参照資料:ブルース・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA1018日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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