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米国務省と輸出入銀行 SMR等の輸出に財政支援

08 Dec 2023

EXIMのルイス総裁(=左)とDOSのジェンキンス特命大使 ©Chair Reta Jo Lewis @X

米国務省(DOS)は125日、CO2排出量の実質ゼロ化に向けた世界的な動きの中で、小型モジュール炉(SMR)など米国製の先進的原子炉システムの輸出・建設を促進するため、米輸出入銀行(US EXIM)を通じて一連の財政支援策を講じると発表した。DOSはまた、米、英、加、仏、日の5か国の共通認識として、原子燃料の製造能力拡大により原子力発電の導入を支援するとの方針を明らかにしている。

SMRの輸出支援策は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で、DOSB.ジェンキンス特命大使・軍備管理・国際安全保障次官とEXIMR.J.ルイス総裁が表明した。US EXIMは政府系の輸出信用機関として米国企業の輸出事業促進を目的に、国際市場でこれらの企業が競争力を持ち大規模なプロジェクトを受注できるよう支援するほか、対象国には低金利融資を提供している。米国製SMRのシステム・機器の輸出申請に資金を提供するという決議は、EXIM理事会が1130日付で承認していた。

EXIMによると、同決議とそれに付随する一連の支援策は、EXIM独自の資金調達方策で米国製の安全・確実なSMRの輸出をサポートし、大規模で柔軟な資金調達を提供するためのもの。地球温暖化への対応とエネルギー供給保障という重要目標を達成するため、世界中が米国製のSMR導入に関心を示すなか、EIXMにはこうした動きへの対応として、適格な輸出申請の承認を加速する用意がある。

このため、EXIMは新しく柔軟な複数の融資ツールを通じて、多くの借り手やプロジェクト関係者がプロジェクトの将来性を明確に見通せるようにする考え。具体的には、SMRの機器製造段階における輸出前支払い金の提供や利息に関する支援、融資保証や直接融資の返済期限を最大22年まで拡大することなどを挙げている。

DOSの2件目の発表は、原子燃料サプライチェーンの確立に向けた多国間協力に関するもので、今年4月に札幌で先進7か国の気候・エネルギー・環境相会合が開催された際、原子力発電の重要性を強調した原子力フォーラムの米、英、加、仏、日の5か国――いわゆる「サッポロ5」の方針として、今回示された。

これら5か国では今後3年間に、信頼性の高いサプライヤー全体でウランの濃縮・転換能力を拡大するため、政府が主導する投資や民間投資で少なくとも42億米ドルの投入を計画。世界的規模でウランのサプライチェーンが確保されるよう、趣旨に賛同する国々すべてを受け入れるとしている。

(参照資料:米国務省EXIMの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA127日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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