米規制委 ディアブロキャニオンの運転期間延長申請を受理
20 Dec 2023
ディアブロキャニオン原子力発電所 ©PG&E
米原子力規制委員会(NRC)は12月19日、カリフォルニア州で唯一稼働するディアブロキャニオン原子力発電所(DCPP)(各PWR、約117万kW×2基)について、運転期間の20年延長を求めるパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社の申請書を正式に受理すると発表した。
州政府の指示に基づき同社が11月7日に提出していた申請書について今回、NRCは不備がないことを確認。今後NRCはこの計画の安全面や環境影響面について詳細な審査を開始するほか、同申請関係のヒアリングを開催する。
米国における運転期間は一律40年に設定されている。同発電所の1、2号機はそれぞれ1984年と1985年に送電を開始しており、PG&E社は2009年、これらの運転期間を20年延長してそれぞれ60年とするための申請書をNRCに提出した。しかし、電力供給地域における需要の伸び悩みと再生可能エネルギーによる発電コストの低下を理由に、同社は2016年6月にこの申請の取り下げを決定。各40年の運転期間満了にともない、1号機を2024年11月に、2号機を2025年8月に閉鎖する計画を2016年8月にカリフォルニア州の公益事業委員会(CPUC)に提出しており、同委は2018年1月にこれを承認している。
しかし、同州では2020年夏に厳しい熱波に見舞われ、G.ニューサム知事は緊急事態を宣言、電力会社には計画停電を指示する事態となった。同様の宣言は2022年にも発出されており、同知事は州議会に対しDCPPの運転期間を5~10年延長するための立法を提案した。
州議会は2022年9月、DCPPの運転期間を2030年まで延長する法案(上院846号)を圧倒的多数で可決、ニューサム知事も同月に署名している。今月14日にはCPUCも、同法の実施にともなう料金の設定方法や、1、2号機の運転期間満了日をそれぞれ2029年10月と2030年10月に再設定することを承認。これらを可能にする3つの条件として、①NRCがDCPPの運転を引き続き承認すること、②同法の下で州政府の水資源省がPG&E社に提供している最大14億ドルの融資契約が温存されること、③NRCが将来的にもDCPPの運転期間延長を適切と判断すること――を挙げていた。
また、米エネルギー省(DOE)も2022年11月、早期閉鎖のリスクにさらされている商業炉を救済するために設置した「民生用原子力発電クレジット(CNC)プログラム」で、DCPPを初回の適用対象に認定。認定日より4年間で、最大11億ドルを拠出すると発表している。
NRCの規制では、運転期間の延長申請書は現行認可が満了する少なくとも5年前までに提出しなければならない。NRCは今年3月、この規制の適用除外を求めるPG&E社の要請書を審査した上で、同社が2023年末までに20年の運転期間延長申請することを条件に、規制適用から除外することを承認。これを受けてPG&E社は、中止された審査の再開を年末までにNRCに求めるとしていた。
PG&E社によると、DCPPはカリフォルニア州における総発電量の8.6%を賄っており、無炭素電力としては同州最大の約17%を供給。従業員も約1,300名を抱えるなど、サン・ルイス・オビスポ郡では最大規模の民間企業である。DCPPのM.ザワリック副所長は、「DCPPを2025年以降も運転するという選択肢を州政府が認めているので、カリフォルニアは今後もクリーン・エネルギー社会に向かって進んでいく」と表明している。
(参照資料:NRC、PG&E社の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)