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インド 2基目の70万kW級国産重水炉が初臨界達成

25 Dec 2023

KAPP-4でNPCILのB.C.パトサック会長らとともに初臨界を祝う発電所スタッフ。
©DAE India on X (Twitter)

インドで建設中のカクラパー原子力発電所4号機(PHWR, 70万kW)が12月17日、初臨界を達成した。インド原子力発電公社(NPCIL)は、計16基からなる70万kW級国産加圧重水炉(PHWR)建設プロジェクトを掲げているが、1基目となるカクラパー3号機は、今年6月末に営業運転を開始。今回の4号機はこれに次いで2基目となる。

NPCILは201011月にグジャラート州のカクラパー発電所(PHWR×2基、各22kW)で4号機を本格着工した後、原子力規制委員会(AERB)の許可に基づき、今年10月に燃料の初装荷を開始。今回、AERBの安全審査をすべてクリアしたことから同炉を起動した。今後は様々な試験を実施しながら出力を徐々に上昇していき、フル出力の運転に入る。

インドで現在稼働している商業炉23基、748kWの大部分は低出力の国産PHWRで、これらのPHWRのなかで最も出力の大きいものがカクラパー3号機である。34号機と同型の4基が、すでに北部ハリヤナ州のゴラクプール発電所と北部ラジャスタン州のラジャンスタン発電所で2基ずつ建設中である。

それ以外では、同国唯一の大型軽水炉であるクダンクラム原子力発電所12号機(ロシア製PWRであるVVER-1000、出力各100kW)がタミル・ナドゥ州で稼働中だが、これらはロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が建設した。同発電所ではさらに36号機(各VVER-1000)の建設工事が行われている。インドはまた、米国製やフランス製の大型軽水炉導入に向けて交渉を進めている。

慢性的な電力不足を解消しつつ国内原子力産業の急速な発展を促すため、インド政府は20175月、国内の4サイトで新たに10基の70kWPHWRを建設する計画を原則承認した。それらは、南西部カルナタカ州のカイガ原子力発電所56号機、ハリヤナ州のゴラクプール34号機、中央部マディヤ・プラデシュ州のチャッカ12号機、およびラジャスタン州のマビ・バンスワラ14号機である。現時点で、これらはすべて行政上の承認と財政的な認可を受けており、NPCILは着工前の様々な活動を展開中。いずれも2031年~2032年頃の完成を目指している。

インド政府で原子力や科学技術を担当しているJ.シン閣外専管大臣の今年4月の発言によると、同国の原子力省(DAE)は2031年までに原子力発電設備容量を約2,300kWに増強するとの目標を設定。2047年までに総発電量に占める原子力シェアは、9%近くまで増大するとの見通しである。

(参照資料:NPCILの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA1218日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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