原子力産業新聞

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米電力会社 先進炉の実現可能性調査に1,000万ドル

17 Jan 2024

桜井久子

エナジー・ノースウエスト社のコロンビア原子力発電所(右手奥)は、最近、20年間の運転延長期間に入り、2043年まで運転の予定。ワシントン州の年間発電量の約10%を供給。 ©Energy Northwest

米国北西部ワシントン州の電気事業者であるエナジー・ノースウエスト社は110日、先進炉の開発と設置を目的とした同社のプロジェクトの実現可能性調査に、ピュージェット・サウンド・エナジー(PSE)社が出資すると発表した。PSE社はワシントン州最大の電力会社で、出資額は1,000万ドル(約14.7億円)。

PSE社による出資は、エナジー・ノースウエスト社とそれを支援する事業体がこれまでに拠出した約1,000万ドルに追加されるもの。

エナジー・ノースウエスト社はワシントン州内の28の公益電気事業者で構成される公営電力共同運営機関。この2年以上、数多くの新しい原子力技術の可能性調査を実施し、米・X-エナジー社の「Xe-100」が、この地域特有のニーズに最も適した炉型であるとの結論に達している。

4世代の「Xe-100」はペブルベッド式小型高温ガス炉(HTGR)で3重被覆層・粒子燃料(TRISO燃料)を使用する。電気出力8kW、熱出力は20kW12基連結することで最大96kWの電気出力を得る。エナジー・ノースウエスト社は自らが所有・運転するワシントン州内唯一の原子力発電所、コロンビア発電所(BWR121.1kW)の隣接区域で「Xe-100」発電所を建設し、2030年までに同炉のモジュールの運転を開始することを想定し、20237月、X-エナジー社と共同開発合意書(JDA)に調印している。

建設プロジェクトの背景には、20195月、ワシントン州内の電力を2045年までに100%クリーンエネルギーとする州法が制定され、電力会社は新たにクリーン電源を特定、評価をするようになっていることがある。

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