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米国 WE社製次世代燃料を照射後試験へ

06 Feb 2024

桜井久子

INLへ輸送される照射済み燃料 ©Westinghouse

米国のウェスチングハウス(WE)社は125日、事故耐性燃料(ATF)を含む25本の照射済みの試験用燃料棒を照射後試験のため、アイダホ国立研究所(INL)に送ったことを明らかにした

この照射後試験は、新型燃料の商業用原子炉での使用認可を得るために重要なプロセスの一環。納入された燃料は、ATFと商業用原子力発電所の炉心で照射された高燃焼度燃料。照射済み燃料が試験のためにINLに納入されたのは、20年ぶりのこと。

INLを含む複数の国立研究所の技術支援と米エネルギー省(DOE)の資金援助を受けてWE社が開発・製造した次世代燃料は、安全性能の向上だけでなく、原子力発電所の運転サイクル期間を現在の18か月から24か月に延長することが可能だ。燃料交換停止回数の削減、使用済燃料の減容により発電事業者は大幅なコスト削減が可能になる。また、出力も増強されるため、原子炉の増設にも匹敵する。

INLでは次世代燃料が通常の使用条件下でどのような性能を発揮するか実験・分析、また、想定される事故条件下における性能を確認し、貯蔵中や再処理中における挙動を実証するために追加試験を実施する。得られたデータは、米原子力規制委員会(NRC)の燃料に関する安全基準策定に利用される。

同様の照射済み燃料棒は、以前にもテネシー州のオークリッジ国立研究所(ORNL)で試験された。INLORNLにおける高度な検査と照射後試験は、次世代燃料を世界中の商用炉に装荷する最終承認を米NRCから得るための重要なマイルストーンである。WE社、米NRCDOE原子力局、DOE国家核安全保障局(NNSA)のほか、日本、韓国、西欧の規制機関などにもデータが提供される。

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