カナダ ピッカリング原子力発電所の改修を州政府が支援
07 Feb 2024
改修計画への支援を表明するオンタリオ州のT.スミス・エネルギー大臣 ©X/Todd Smith
カナダのオンタリオ州政府は1月30日、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社によるピッカリング原子力発電所(B)5〜8号機の改修計画への財政支援を表明した。
オンタリオ州のT.スミス・エネルギー大臣は、ピッカリングBの4基(CANDU炉)の改修により、「オンタリオ州の競争力を高め、投資が増加する。少なくとも30年間は安全で信頼できるクリーンな電力を生産し、数千人の新規雇用が創出され、電化が促進される」と述べ、改修計画への州政府の支援を表明した。
州政府は、プロジェクトの開始段階においてOPG社に20億カナダドル(約2,193億円)を支援する。これは、エンジニアリングや設計作業のほか、長期調達部品の確保に充てられる。
OPG社によると、2030年代半ばまでに改修作業が完了する予定。シンクタンクの分析によると、改修期間中に州のGDPは194億カナダドル(約2.1兆円)増加し、その間に年間約1.1万人の雇用を創出、改修後の運転期間中には年間6,000人以上の雇用を創出・維持する見込みである。
OPG社は、ダーリントン原子力発電所1~4号機を改修する128億カナダドル(約1.4兆円)のプロジェクトの半分以上を終えており、2026年末までに完了する予定である。ダーリントンや、ブルース・パワー社が進める6基のCANDU炉の改修プロジェクトから得られた知見は、ピッカリングにも反映される。
ピッカリング発電所(B)の運転認可は2028年8月31日までだが、2024年12月31日以降の商業運転は許可されていない。州政府は2025年以降の運転を支持し、OPG社は2023年6月、カナダ原子力安全委員会(CNSC)に2026年末まで5〜8号機の運転延長を申請した。ピッカリング発電所は、オンタリオ州の電力の約14%を供給している。なお、ピッカリング発電所(A)の1号機と4号機は、改修工事を経て運転を再開しているが、2024年末までに閉鎖される予定。2号機と3号機はすでに閉鎖された。
オンタリオ州政府は、電力需要を満たし、かつ電化による排出量削減計画の一環として、ブルース・パワー社における大規模な新規原子力発電所の建設と、ダーリントン・サイトにおける小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」3基導入に向けた事前準備作業を支援している。