原子力産業新聞

海外NEWS

スロベニア クルスコ増設を問う国民投票実施へ

08 Feb 2024

桜井久子

超党派による会合の模様 ©Slovenia Government

スロベニアでは130日、超党派の会合で、クルスコ原子力発電所の増設計画(JEK2プロジェクト)をめぐり、すべての政党が年内に国民投票を実施することで合意した。

会合には、スロベニアのN.ムサル大統領、R.ゴロブ首相の他、国民評議会(上院)議長、国民議会(下院)議長、各政党代表らが出席。スロベニアのエネルギーの自立と長期のエネルギー政策、とりわけ原子力の役割について協議し、脱炭素の未来に向けて、再生可能エネルギーと原子力の利用を進めることや、JEK2プロジェクトの継続で意見が一致した。

同首相は、クルスコ発電所の増設は、スロベニアの将来にとって極めて重要なプロジェクトであり、今年の後半にも国民投票で支持を得られれば、早ければ、2027年または2028年にクルスコ発電所の増設のための投資に関する最終的な決定を下し、2030年代にはJEK2(クルスコⅡ)を稼働させたい考えだ。

スロベニアは、最大出力240kWJEK2を、既存のクルスコ原子力発電所(PWR×1基、72.7kW)に隣接して建設する計画だ。同発電所は、19831月に営業運転を開始して以来、スロベニアの電力の約3分の1を供給している。このクルスコ発電所は、国営スロベニア電力(GENエネルギア)と隣国クロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivredaHEP)が共同所有しており、20231月には、2043年まで20年間の運転期間延長が認可された。

cooperation