原子力産業新聞

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EU SMR産業アライアンスが発足

20 Feb 2024

桜井久子

欧州委員会ビル ©European Union, 2024

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は26日、欧州で2030年代初頭までに小型モジュール炉(SMR)の展開を加速することを目的に「欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)」を立ち上げた

同アライアンスの立ち上げにより、EU大での労働力確保などサプライチェーンを確立し、SMRの早期導入を目指す。同アライアンスの主な行動計画は以下の通り。

  • アライアンスの支援対象となるSMRの選定
  • 欧州のサプライチェーン(燃料および原材料を含む)の不安要素の特定および解決
  • SMR開発にあたり資金調達問題の精査および新しい調達枠組みの検討
  • SMRおよび先進的モジュール炉(AMR)に関する研究の将来ニーズの検討
  • サプライチェーンのレベルを精査し、EU大や各国レベルで対処

アライアンス参加会員の募集も行われる。なお、アライアンスの範囲、目的、活動を網羅する普及イベントが3月にブリュッセルで開催される。

アライアンスの創設を主導する欧州原子力産業協会(nucleareuropeY.デバゼイユ事務局長は、「SMRの導入は、エネルギー供給保障の確保、CO2排出量の削減、新たな雇用、経済成長など、欧州に大きな利益をもたらす。本アライアンスが欧州の原子力産業界のレベルを高める」とその意義を強調している。

ECは「2050年までにEUの気候中立」という合意目標達成の可能な道筋について、最新の影響評価に基づき、2040年までに1990年比で温室効果ガス排出量を90%削減することを提案、すべての利害関係者との協議を開始するとしている。

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