原子力産業新聞

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洋上SMRプロジェクトに韓国ヒュンダイも参加

21 Feb 2024

桜井久子

SMR搭載原子力貨物船のイメージ図 ©Core Power

韓国のHD現代(ヒュンダイ)グループ傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)社は24日、英国のコア・パワー社と米国のサザン・カンパニーおよびテラパワー社と協力して、船舶用の小型モジュール原子炉(SMR)の開発に参画する計画を明らかにした202211月、KSOE社はテラパワー社に3,000万ドル(約45億円)を出資している。

四社は、テラパワー社の塩化物熔融塩高速炉(MCFR)の設計をベースに、共同開発を行う計画だ。MCFRは冷却材と燃料の両方に塩化物熔融塩を使用し、核分裂反応をより効率的に行う高速炉型原子炉。従来の原子炉よりも高温で運転できるため、発電効率が高く、プロセス熱や熱貯蔵も可能。テラパワー社は、MSFRの船舶用熔融塩炉であるm-MSRを開発中である。202310月、サザン・カンパニー、テラパワー社は熔融塩を用いるポンプ駆動運転等の統合効果試験(IET)に成功、MCFR開発で大きく前進している。

なお、KSOE社は3月にもテラパワー社に研究開発チームを派遣し、洋上発電所や新たな用途でこれらパートナーと原子力利用の共同研究開発を進めていく。また、国際原子力機関(IAEA)や米国船級協会(ABS)、英国のロイド船級協会(LR)とともに、原子炉の船舶利用に関するシステム構築の議論にも参加する予定である。

海運業界は年間約3.5億トンの化石燃料を消費し、世界の炭素排出量の約3%を占めている。20237月、国際海事機関(IMO)は2050年頃までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする新たな戦略を採択した。海運業界は、低排出の燃料、インフラ、技術の開発導入を急いでいる。

コア・パワー社のM.ボー会長兼CEOは、KSOE社の開発プロジェクトへの参加を歓迎し、「造船とエンジニアリング部門におけるKSOE社の世界最高レベルの専門知識に、コア・パワー社の海運・エネルギー業界60社以上の株主が加わる。海運業界でも原子力なしにネットゼロは達成できないことが広く認識されている」と強調している。

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