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インド 初のFBR原型炉で燃料装荷開始

08 Mar 2024

大野 薫

装荷を祝うモディ首相(中央)©DAE

インド原子力省(DAE)は34日、同国南部のタミルナドゥ州・カルパッカムで建設中の同国初の高速増殖原型炉「PFBR」(50.0kW)で、燃料装荷を開始したと発表した。燃料装荷には、N. モディ首相が立ち合うなど、国を挙げてFBR開発に取り組む姿勢を示している。

PFBRは、200310月に設立されたDAE傘下のバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社(BHAVINI)が開発した国産の高速増殖原型炉。2004年に着工され、DAEによると、これまでに200以上のインド企業が協力し、設計、建設された。当初の完成予定は2010年であったが、さまざまな技術的課題に直面し、着工から燃料装荷まで約20年の月日を要した。今後、運転が開始されれば、インドはロシアに次いで世界で2番目となる高速増殖炉の商業運転国となる。

インドの原子力発電開発計画は、国内で豊富なトリウムを燃料とする「トリウム・サイクル」が開発初期からの一貫した基本方針。インドはこれまで、第1段階となる従来の重水炉・軽水炉路線に続き、第2段階としてFBRの開発を進めており、今回の燃料装荷は、続く第3段階におけるトリウム資源利用への大きな足がかりとなるものである。DAEによると、さらに6基の同規模FBRの建設計画があるほか、トリウムを利用したAHWR(新型重水炉)の研究開発にも力を入れている。

ナトリウム冷却高速炉であるPFBRは、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)を燃料としており、プルトニウムと核分裂性ウラン233を増殖させるために、ウランとトリウムのブランケットを装荷する。それにより、プルトニウムとウラン233を増殖させ、将来のAHWR用燃料として利用する計画だ。

PFBRについてDAEは、使用済み燃料を再利用することから、「放射性廃棄物を大幅に減容し、大規模な地層処分施設の必要性を回避できる」と強調している。

インドではこれまで、インディラ・ガンジー原子力研究センター(IGCAR)を中心に、高速炉開発を積極的に進めており、1985年から高速実験炉FBTR13.5kW)を運転中。今年12日には、高速炉燃料用大規模商業再処理プラントの前身となるIGCARPFBR燃料再処理実証プラント(DFRP)の竣工式にモディ首相が出席、2月にも同首相は、20日に送電を開始したカクラパー4号機(PHWR、 70.0kW)を訪問している。

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