中国 大型炉「華龍一号」の建設が着々と進展
11 Mar 2024
金七門原子力発電所 計6基の完成予想図 ©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は2月18日、浙江省寧波市で金七門第Ⅰ原子力発電所の起工式を開催した。
2023年12月29日、国務院常務会議は同発電所の1、2号機の建設計画を承認している。同発電所では、中国が独自開発した第3世代PWR「華龍一号」(HPR1000)を採用。同サイトではこの1、2号機を含め、計6基の「華龍一号」を建設予定である。CNNCによると、全基が稼働すると合計設備容量は約720万kWとなり、年間550億kWhを発電、これは年間約5千万トンのCO2削減に相当するという。建設期間は60か月、1号機の運転開始は2028年末頃を見込む。CNNC傘下のCNNC浙江エナジー社がプロジェクト管理、建設および運転管理を担当する。
また、2月22日には、福建省でCNNCの漳州第Ⅱ原子力発電所1号機が着工した。2022年9月の国務院常務会議で、同発電所における「華龍一号」採用の1、2号機(各112.6万kW)の建設計画が承認されている。同サイトの漳州第Ⅰ発電所では「華龍一号」の1、2号機(各112.6万kW)が建設中で、それぞれ2024年、2025年に営業運転を開始予定。2号機では冷態機能試験の準備が進行中である。さらに、CNNCは「華龍一号」×2基採用の漳州第Ⅲ発電所を計画中。漳州原子力発電所プロジェクトは、CNNCと中国国電集団(CGC)がそれぞれ51%、49%を所有する合弁企業CNNC-国電漳州エナジー社が運営する。なお、CNNCは海南省の昌江原子力発電所3、4号機においても「華龍一号」(各120万kW)を建設中で、それぞれ2021年3月、2021年12月に着工している。
一方、中国広核集団(CGN)は2月27日、国家核安全局(NNSA)から防城港原子力発電所4号機(華龍一号、118万kW)の運転許可を取得した。同機は昨年9月に温態機能試験を実施。近く燃料装荷し、今年前半にも運転開始予定。3号機は2023年3月に営業運転を開始したCGN設計による初の「華龍一号」である。同発電所では計6基の稼働を計画しており、1、2号機(CPR-1000、各108.6万kW)は2016年に営業運転を開始した。同発電所は、CGNが61%、広西投資集団が39%を所有する。
発電以外の利用として、CNNCが2月27日に中国初の産業用原子力蒸気供給プロジェクトの試運転を開始した。江蘇省の田湾原子力発電所3、4号機(PWR=VVER-1000、各112.6万kW)から近隣の連雲湾石油化学工場に蒸気を供給する。両機の二次系統から蒸気を取り出し、多段階の熱交換を経て、断熱された地上パイプラインで工場に運ぶ。パイプラインの総距離は23.36km。すでに毎時280トンの安定した蒸気流量を記録しており、年間480万トンの蒸気供給を見込んでいる。商業運転は今年6月に予定されている。