原子力産業新聞

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ロシア レニングラードⅡ-3が着工

18 Mar 2024

桜井久子

着工式典の模様 ©Rosatom

ロシアのレニングラード第Ⅱ原子力発電所3号機(PWRVVER-1200119.9kW)が314日、着工した。同サイトでは、同型の4号機も建設予定である。

ロシアのV.プーチン大統領は、オンラインで着工式典に参加。国内の原子力発電の見通しについて、「2045年までに、ロシアの総発電量における原子力シェアを25%にする計画だ。レニングラード発電所の新設はこの計画に大きく貢献し、ロシア北西部全体のエネルギー安全保障を向上させ、クリーンな電力供給を継続する」と語った。なお、現在の原子力シェアは約20%。

現在、レニングラード発電所34号機(軽水冷却黒鉛減速炉のRBMK-1000100kW級)と隣接サイトの第Ⅱ発電所12号機(VVER-1200120kW級)が運転中。レニングラード発電所は半世紀以上にわたり、安価な電力を安定的に供給し、サンクトペテルブルク市とレニングラード州における現在の原子力発電量のシェアは55%、北西部連邦管区全体で28.5%となっている。12号機(RBMK-1000100kW級)は45年の運転期間を経て、第Ⅱ発電所12号機の運転開始後の201812月と202011月に閉鎖され、現在、廃止措置の準備中である。

VVER-1200はロシアが開発した第3世代+(プラス)炉で、動的と静的、2種類の安全系を持ち、コンクリート製の二重格納容器や、設計基準外事象の発生時に放射性物質の漏洩を防ぐコア・キャッチャーを備える。ロシアではノボボロネジ第Ⅱ原子力発電所12号機で先行採用・運転されている。海外ではベラルーシで運転中、中国、トルコ、エジプト、バングラデシュで建設中だ。

レニングラード州のA.ドロズデンコ知事は、「レニングラード発電所の運転は、地域産業を支え、インフラ整備のほか、大規模な地域投資プロジェクトの実施、雇用創出、医療、教育などに寄与している。近く閉鎖する34号機を代替する第Ⅱ発電所34号機が稼働すれば、発電量は20%増大し、レニングラード州に安定した経済成長をもたらす」と期待を寄せる。国営企業ロスアトムは、第Ⅱ発電所34号機の年間発電量を各85kWh以上と想定している。

ロスアトムのA.リハチョフ総裁は、「現在、クルスク第Ⅱ原子力発電所で12号機(VVER-TOI、各125.5kW)を建設中で、年内に1号機の起動を予定。スモレンスク原子力発電所(RBMK-1000×3基)とコラ原子力発電所(VVER-440×4基)でも既存炉を代替する新設炉(スモレンスク第Ⅱ発電所で2基、コラ第Ⅱ発電所で1基)の建設を予定している。ウラル山脈以西での原子力発電を大幅に増強後、電力消費量の伸びが予想されるシベリアと極東へ進出する」との意欲を示した。

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