コンステレーション社 原子力向けにグリーンボンドを発行 米国初
25 Mar 2024
今年、80年運転をめざし2回目の運転期間延長申請を予定するドレスデン原子力発電所©コンステレーション社
米国最大のカーボンフリー電力の発電事業者であるコンステレーション・エナジー社(以下、コンステレーション社)は3月18日、同社の原子力プロジェクトの資金調達向けに9億米ドル(約1,350億円)相当の環境債(グリーンボンド)を発行したと発表した。同社は今後、調達した資金をCO2の削減やクリーンで信頼性の高い原子力発電の維持/拡大、運転期間延長などの投資に充てる予定。
グリーンボンドは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取組に特化した資金を調達するために発行される債券で、私企業による原子力プロジェクトの資金調達に利用できるものとしては米国初。最近では、グリーンボンドは、持続可能なプロジェクトへの投資を求める投資家の間で人気が高まっているという。
今回のグリーンボンド発行について、コンステレーション社取締役副社長兼CFOのD. エガース氏は、「市場の大きな反響は、原子力が今後数十年にわたって重要な役割を果たすユニークなクリーン・エネルギー技術であり、投資家が安全で長期的な投資であると認識している証左」とコメント、原子力への投資は、長期的な持続可能性への投資であることを強調している。
グリーンボンドをめぐっては、カナダのブルース・パワー社が2021年11月、原子力発電向けに世界で初めてグリーンボンドを発行、これまでに3回の募集で累計17億加ドル(約1,900億円)のグリーンボンドを発行している。さらに、カナダの州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社も2022年7月、ダーリントン原子力発電所(CANDU-850×4基)の改造工事の資金調達用に3億加ドル(約340億円)のグリーンボンドを発行しているほか、フランスでは2023年11月、フランス電力(EDF)が既存の原子力発電所の資金調達に特化した10億ユーロ(約1,600億円)のシニアグリーンボンド(低リスクの債権)を発行している。
メリーランド州・バルチモアに拠点を置くコンステレーション・エナジー社は全米で14サイト・計21基、1,900万kW以上の原子力発電設備容量を保有する電力会社。同社によれば、原子力発電のほか、水力、風力、太陽光による発電事業により、米国の1,600万世帯以上の家庭や企業に電力を供給し、米国全体で生産するカーボンフリー電力の約10%を賄っている。