原子力産業新聞

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洋上原子力発電の推進に向けて新組織

16 Apr 2024

桜井久子

©NEMO

海事産業の脱炭素化達成のため、洋上原子力発電の導入に関心を持つ企業・団体から構成される会員組織「原子力エネルギー海事機構(Nuclear Energy Maritime OrganisationNEMO)」が42日、正式に発足した。設立会員として海事産業や原子力関連企業・団体11社が参加している。

英国ロンドンに本部を置くNEMOは、会員のネットワーク構築、規制当局間の機能的な連携促進によって、洋上原子力発電の開発を推進し、ベストプラクティスの交換を目的とするプラットフォームである。

また、国内外の規制当局による、浮体式原子力発電の設置・運転・解体に係る最高水準の安全性、セキュリティ、および環境に配慮した基準・規則の作成を支援することを使命とする。原子力産業と海事産業双方の既存の規制間のギャップを埋める手助けに焦点をあて、国際原子力機関(IAEA)と国際海事機関(IMO)に代表される原子力・海事規制当局に専門的な指針を提供し、世界的な基準・規制の確立ならびに洋上における原子力発電の商業化促進を目指すとしている。

会員や広く一般向けに定期的なイベント、ワークショップ、ウェビナーを開催、出版物を提供し、他の業界団体、政府機関、学術機関、市民団体とも協力して浮体式原子力発電を推進する計画だ。

NEMOの初代会長は元IAEA安全評価部門長、英ロイド船級協会(LR)グローバル原子力担当ディレクターのM.シャナワニー氏が務める。NEMO設立会員の11企業・団体は、韓国のHD現代グループの韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)社とJEIL Partners社、英国のロイド船級協会(LR)とコア・パワー社、米国のBWXTアドバンスト・テクノロジーズ社、テラパワー社、およびウェスチングハウス(WE)社、日本の尾道造船、ノルウェーのヴァルド・グループ、フランスのビューローベリタス社、イタリアのRINA社。NEMOには浮体式原子力発電と密接な関係を持ち、持続可能性、革新性、卓越性にコミットする、加盟基準を満たす企業・団体が参加可能。

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