ルーマニア大統領 韓・斗山SMR製造施設を訪問
09 May 2024
SMR製造工場を視察するヨハニス大統領(右) ©Doosan Enerbility
ルーマニアのK.ヨハニス大統領は4月24日、韓国の斗山エナビリティ(旧名:斗山重工業)社のSMR製造施設(於慶尚南道・昌原)を訪問した。ルーマニアは米ニュースケール・パワー社製小型モジュール炉(SMR)の導入を計画している。
ヨハニス大統領には、ルーマニアの外務大臣、エネルギー大臣、国営原子力発電会社(SN Nuclearelectrica: SNN)CEO、SMR建設プロジェクト会社のロパワー(RoPower)社CEO他が同行した。ルーマニアのSMRプロジェクトを支える機器製造施設の生産能力の評価が訪問の目的。斗山エナビリティ社は中核となる機器、特に上部原子炉モジュールを製造し、ニュースケール社に供給する。
ロパワー社は、ルーマニア南部ドゥンボビツア県のドイチェシュテイ(Doicesti)で13年前に閉鎖された旧・石炭火力発電所サイトに、出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)の建設を計画し、現在、サイト準備が進められている。本プロジェクトで約200名の正規雇用、1,500名の建設雇用、2,300名の製造・部品組立雇用、さらに60年間の運転期間にわたり運転・保守に係る雇用が創出されると見込まれている。
大統領一行は、鍛造工場や原子力機器製造工場を視察。SMR用鍛造材や機器製造の設備を見学、今後のプロジェクトスケジュールを確認した。
斗山エナビリティ社ら韓国勢は、ニュースケール社に多額の投資(総額約1.04億ドル、約161.5億円)を行い、中核機器を供給する権利を確保した。NPMの製造可能性を検討し、機器製造の準備をすべて完了。2019年4月に両者はSMR展開の戦略的事業協力で了解覚書を締結している。
なお、米政府は2024年3月、ルーマニアのSMR建設プロジェクトに対して米輸出入銀行(US EXIM)と米国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation:DFC)が、各々30億ドル、10億ドルの計40億ドル(約6,212億円)を金融投資することを発表した。ドイチェシュテイの建設サイトは、2021年1月にSNN社に提供された米国貿易開発庁(USTDA)からの128万ドル(約1.98億円)の技術支援金を財源とする審査プロセスを経て、選定されている。