フランス フラマンビル3号機の試運転を認可
09 May 2024
フラマンビル3号機 ©EDF
フランスの原子力安全規制当局(ASN)は5月7日、フランス電力(EDF)が北部ノルマンディ地方で建設しているフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)(欧州加圧水型炉=EPR、165万kWe)の試運転を認可した。これにより、EDFは原子炉に燃料を装荷し、起動試験、試運転を実施することが可能になり、5月8日に燃料装荷が開始された。今夏の送電開始を予定している。
ASNは放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の支援を受け、EDFの認可申請に対する審査を完了。ASNは認可と同時に技術要件も発表し、起動試験の実施手順などの詳細を定めている。
フラマンビル発電所の1号機、2号機は各々1986年12月、1987年3月に営業運転を開始。FL3は2007年12月に着工した。原子炉建屋のドーム屋根は2013年7月、原子炉容器は2014年1月に設置された。FL3は、フランス国内で初のEPR建設だったこともあり、土木エンジニアリング作業の見直しのほか、福島第一原子力発電所事故にともなう包括的安全評価の実施、原子炉容器の鋼材組成の異常(炭素偏析)、2次系配管溶接部の品質上の欠陥等により完成が大幅に遅れている。当初は2012年に完成が予定されていた。
なお、完成の遅れとともに建設コストも大幅超過。EDFは2022年12月、完成時の総工費を132億ユーロ(約2.2兆円)と見積もっていたが、これは2006年5月当時の見積り33億ユーロ(約5,500億円)の4倍である。
EPRは、フランスの国外では既に稼働している。中国の台山発電所1、2号機(EPR-1750、各175万kWe)は各々2018年12月、2019年9月に営業運転を開始。続いて欧州では、フィンランドのオルキルオト発電所3号機(EPR、172万kWe)が2023年5月に営業運転を開始。英国のヒンクリー・ポイントC(HPC)発電所の1、2号機(EPR-1750、各172万kWe)が建設中である。