米GEH SMR導入支援のサプライヤーグループを結成
10 May 2024
GEH、BWXT関係者 ©GE Vernova
米GEベルノバの原子力事業会社であるGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は4月29日、自社の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の世界展開に向け、サプライチェーン・グループの結成を発表した。
BWRX-300はBWRをベースとした30万kWeのSMR。GEH社は事前に定義された基準、顧客要件を満たし、「BWRX-300」製造能力への投資意欲を示すサプライヤーを選定する。
GEH社は既に、BWXTカナダ社をサプライチェーン・グループ参加企業として初認定。BWXTカナダ社は、加オンタリオ・パワー・ジェネレーション社(OPG)のダーリントン新原子力発電プロジェクト向け「BWRX-300」の原子炉圧力容器のエンジニアリング契約を受注している。BWXT社は4月19日、オンタリオ州ケンブリッジの原子力機器製造工場に8,000万カナダドル(約91億円)を投資すると発表。世界的な原子力発電需要の拡大を見込み、同工場の大型原子力機器の設計・製造施設を拡張し、製造能力を50%増強する。
ダーリントン新原子力発電所プロジェクト「BWRX-300」初号機の建設に向けて、OPG社、GEH社、エンジニアリング会社のアトキンス・リアリス社(AtkinsRéalis、旧名:SNC-ラバリン)、建設大手エーコン(Aecon)グループは、2023年1月に協力協定を締結している。初号機は2029年の送電開始を目指している。なお、同サイトには合計4基のBWRX-300が設置される計画だ。
「BWRX-300」は、既存の燃料を使用、米原子力規制委員会(NRC)の許認可を受けたGEH社の革新型単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)の設計と許認可の基礎的な部分を活用しており、現在英国では、英原子力規制庁(ONR)の包括的設計審査(GDA)プロセスが進行中。GEH社は今年1月、英政府の未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)から「BWRX-300」の設計開発支援に向けた補助金3,360万ポンド(約65.4億円)を獲得している。また、2023年12月には、ポーランド政府が、国内6サイト・計24基の「BWRX-300」の建設を支援する原則決定を発給するなど、「BWRX-300」導入をめぐる動きが進展している。