米上院 ロシア産ウラン輸入禁止法案を可決
10 May 2024
©US Government
ロシア産の低濃縮ウラン(LEU)の米国への輸入を禁止する超党派による「ロシア産ウラン輸入禁止法案」が4月30日、米上院において全会一致で可決された。バイデン大統領の署名後、同法案は成立し、成立日から90日後に発効。2040年まで有効となる。
米上院エネルギー天然資源委員会の有力メンバーであるJ.バラッソ議員を含む超党派の上院議員らは声明を発表。同法案は米国のエネルギー安全保障および、原子力部門を強化すると称賛した。ロシアの対ウクライナ戦争資金を断ち、米国のウラン生産の復活と核燃料サプライチェーンへの投資拡大を期待する。現在、ロシアは米国の商業用原子力発電所向けLEUの24%を供給している。
また、輸入禁止法成立により、米国議会が今年3月、ロシア産LEU輸入の制限を条件に、国内のウラン燃料製造産業への支援のため米エネルギー省(DOE)に拠出を決定した27.2億ドル(約4,232億円)の資金利用が可能になる。
なお、DOEは原子炉や米国の原子力関連企業の継続的な操業を維持するために、代替となる実行可能なLEUの供給源がないと判断した場合や、LEUの輸入が国益にかなうと判断した場合は、輸入禁止を免除することができる。その場合も輸入可能なLEU量は限られ、いかなる免除も2028年1月1日までに終了しなければならないとしている。
ウクライナの原子力発電会社「エネルゴアトム」社は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略以後、ロシア産核燃料の輸入を中止し、最終的には国内での完全な核燃料サイクルの完結を目指している。ウクライナのG.ガルシェンコ・エネルギー大臣は、米上院の歴史的決定を対ロシア制裁への決定的な一歩と評価している。