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韓KHNP 廃炉作業に4足歩行ロボットを導入

20 May 2024

桜井久子

4足歩行ロボット © KHNP

韓国水力・原子力会社(KHNP)は58日、永久閉鎖した古里原子力発電所1号機(PWR58.7kWe)の廃炉に向けた除染作業で、初めて4足歩行の放射線測定ロボットを使用したことを明らかにした

KHNPは57日に古里1号機の除染を開始し、作業員の被ばくを最小限に抑え、除染作業の効率化を図るためにロボットを活用する。KHNP2021年から、原子力発電所の環境に特化した4足歩行の自律型地上ロボットと、線量測定センサーを搭載した屋内自律型飛行ロボットの開発を進めてきた。これらのロボットにより作業員は、複数のカメラ、放射線センサー、3Dライダー(反射光で形状を画像化する技術)により放射線量情報を可視化できるため、直接被ばくのリスクを負うことなく、安全に放射線量の測定が可能。また、地上ロボットは温度・湿度センサーを搭載し、危険な場所を監視して作業員の安全確保に役立つ。KHNPは今後もロボット技術を開発し、原子力発電所のさまざまな分野に応用して産業の安全性を高め、技術競争力を強化するとしている。

韓国・釜山にある古里発電所の1号機は19784月に営業運転を開始した韓国最古の原子炉で、20176月に永久閉鎖された。原子炉から放射性物質を除去する化学的除染プロセスは始まったが、解体開始前に韓国の原子力規制機関である原子力安全委員会(NSSC)の承認を必要とする。NSSCによる廃炉作業認可は除染が完了した後になる。認可取得後、使用済み燃料が原子炉から取り出され、続いて非放射性構造物ならびに放射性構造物の解体、サイトの復旧作業が行われる。使用済み燃料の一時貯蔵施設が未建設のため、廃炉完了の時期は未定である。

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