原子力産業新聞

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米国 フィリピンのSMR導入に協力

27 May 2024

桜井久子

USAIDとDOEのMOU調印式
前列右端にクリテンブリンク米国務次官補
© Bureau of East Asian and Pacific Affairs, US DOS/X

米政府は521日、フィリピン政府とマニラで共催した第6回インド太平洋ビジネスフォーラムで、米商務省の国際貿易局(ITA)による東南アジアの民生用原子力産業のための産業ワーキンググループの設立を表明。また同日、フィリピンの原子力分野の人材開発等に向けた覚書も締結された。東南アジアへのSMR導入を目指す。

産業ワーキンググループは約40社の米国企業で構成され、東南アジアにおける先進的な民生用原子力発電プロジェクト、特にSMRの東南アジアにおける展開の促進を目指す。ITAのエネルギー・環境産業部(OEEI)と在マニラ米商務部が作業部会を共同運営し、米国貿易開発庁(USTDA)他の米国政府機関が支援する。

また、フィリピン・アメリカ教育財団(PAEF)は、奨学金や学術交流を通じてフィリピンの民生用原子力産業におけるスキルや労働力の開発を促進するため、フィリピン・エネルギー省(DOE)と協力覚書(MOU)に調印した。米国国際開発庁(USAID)もDOEのクリーン・エネルギー移行プログラム、民生原子力協定の履行にあたり、DOEMOUを調印した。一連のMOU調印に立ち会ったD.クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、「MOUは民生用原子力産業の持続可能性の確保に向け、高スキルの専門家育成の支援、強固な政策の制度化、商業的パートナーシップの促進という米政府のコミットメントを示すもの」と強調した。

米国は202311月に、フィリピンと原子力協力協定(通称123協定)を締結している。脱炭素化とエネルギー自給率向上を目指すフィリピンに、米国から原子力発電を中心とした民事用原子力関連投資、原子力機器や資材の輸出を可能にする法的枠組みで、フィリピンへのSMRをはじめとする原子力技術輸出の商機を支援する。

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