原子力産業新聞

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フランス 米GEの蒸気タービン設備事業を買収

11 Jun 2024

桜井久子

2022年2月10日、ベルフォール工場で演説する仏マクロン大統領。背後にアラベル蒸気タービン
©The Elysee Palace

フランス電力(EDF)は531日、米GEベルノバ社(電力・エネルギー事業担当)の南北アメリカ地域におけるサービス事業を除く、原子力発電所の蒸気タービン設備事業の買収を完了した。

2022210日のEDFGE社間の買収に係る独占契約締結以後、買収手続きが進められていた。この買収対象は、南北アメリカ地域外における新規の原子力発電所向けアラベル蒸気タービンを含むタービン設備の製造と、既存の原子力発電所向けの保守および改修事業。買収総額は明らかにされていない。

GEベルノバ社は南北アメリカ地域における原子力サービス事業を継続し、集中的に蒸気タービン設備事業を推進するとともに、日立製作所と小型モジュール炉(SMR)のBWRX-300などの原子炉設備、核燃料およびサービス供給事業を展開する。

EDFは完全子会社であるアラベル・ソリューションズ社を設立、約3,300人を雇用し、アラベル・ソリューションズ社の蒸気タービンを、特にEPR(欧州加圧水型炉)、EPR2SMR向けに供給する計画だ。なお、同社のタービン設備とサービスは、世界シェアの3分の1を占めているという。

EDFL.レモント会長兼CEOは、「今回の買収は、欧州経済の脱炭素化とエネルギー安全保障の達成に必要な原子炉建設の再開を支援し、欧州の産業部門を完全に自立させるもの。アラベル・ソリューションズ社はフラマトム社とともに原子力サプライチェーンにおける当社の専門性を強化する」とコメントした。なお、フラマトム社のB.フォンタナCEOがアラベル・ソリューションズ社の会長に任命された。EDFはフラマトム社の株式80.5%を保有する。

フランスのE.マクロン大統領は20222月、フランス東部にあるGEスチーム・パワー社(当時)のベルフォール工場を訪問した際、EPR2の新設計画を発表した。マクロン大統領は、Xの声明で今回の買収を歓迎し、「これは私がベルフォールで行った約束であり、EDFGEの原子力事業、特にアラベル蒸気タービンの製造を引き継ぐ。エネルギー主権獲得への大きな一歩だ」とポストしている。

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