韓国 SMR産業ハブを創設へ
28 Jun 2024
討論会で発言するユン大統領 © facebook.com/president.rok/
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は6月20日、韓国南東部の慶尚北道(キョンサンブクト)の慶山市で主催した討論会で、小型モジュール炉(SMR)の産業ハブ創設の計画を明らかにした。
ユン大統領は、慶山市の嶺南大学校で「北東アジアのハイテク製造イノベーションハブ、慶北」をテーマに主催した第26回目の国民との討論会において発言。慶尚北道の地域住民、原子力発電所や水素などの新エネルギー産業に関わる起業家や中央政府・地方政府などから100名以上が参加した。
ユン大統領は挨拶の中で「慶尚北道が新たな飛躍を遂げるためには、産業構造の革新が何よりも重要だ」とし、エネルギー産業の拠点形成を重視。慶尚北道はこれまで、鉄鋼業や繊維産業を通じて韓国の輸出を牽引してきたが、現在、水素やバイオなどの新たな成長分野を発掘・推進しており、政府は慶尚北道の産業革新を積極的に支援すると強調した。
具体的には、慶州市に3,000億ウォン(約330億円)規模を投じ、「SMR産業ハブ」を創設するとしている。欧米諸国などが2030年代初頭にSMR導入を目指す中、今後は炉型開発だけでなく、SMRの機材製作や建設面でもグローバルなSMR市場をリードすることを狙う。また、産業通商資源部(MOTIE)が、来年までに800億ウォン(約88億円)の原子力産業成長基金を創設することを紹介。SMR産業を牽引する革新的な機器製造企業を支援し、慶尚北道のSMR製造能力を着実に強化し、世界のSMR製造拠点に成長できるよう技術面のインフラ整備を積極的に支援することが目的。さらに現在、蔚珍郡で計画中の新ハヌル3、4号機(APR1400、各140万kWe)を滞りなく建設し、慶尚北道が原子力産業の復興と新産業化において主導的な役割を果たせるよう後押しすると表明した。新ハヌル原子力発電所3、4号機の新設計画は、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領の政権下の脱原子力政策により建設計画が凍結されていたが、現政権下で再開された。
また、SMRのハブ化に加え、慶尚北道を「水素産業のハブ」にするため、東海沿岸に「水素経済産業ベルト」を創設する8,000億ウォン(約880億円)のプロジェクトを支援すると表明。政府は現在、慶尚北道の浦項市において水素燃料電池の国産化を推進する「水素燃料電池クラスター」とともに、蔚珍郡に原子力を利用した「原子力水素国家工業団地」の創設を推進中とし、今後、さらに加速していくと語った。