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ウズベキスタン SMR建設準備作業が今秋にも開始

09 Jul 2024

桜井久子

建設サイトを訪問する両国関係者  ©Uzatom

ロシアとウズベキスタンが5月末に締結したロシア製SMR発電所の建設契約6月26日に発効し、ウズベキスタン初となるSMRの建設準備作業が今秋にも開始される。

今年5月末にロシアのプーチン大統領がウズベキスタンを訪問した際に、原子力砕氷船技術に基づくSMR「RITM-200N」×6基構成(合計電気出力33kW)の原子力発電所の建設に関する契約がウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)傘下の原子力発電所建設総局とロシア国営原子力企業ロスアトム傘下のエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社間で締結された。このたび、契約の発効に係る議定書の調印式がウズベキスタンで開催され、両者が調印した。なお、ロシア製SMRの海外輸出プロジェクトは、これが初めてとなる。

両国関係者は、ウズベキスタン東部のジザク州の建設サイトを訪れ、現場調査および建設作業の優先課題を特定した。プロジェクトチームや建設作業員の居住エリアやその他必要なインフラ整備工事が今秋にも開始される。

ロシアの最新SMRであるRITM-200Nは、舶用炉を陸上用に改良したPWRで、熱出力19万kW、電気出力5.5万kW、設計運転年数は60年。初号機を2029年に運転開始させ、2033年までに全6基を稼働させたい考えだ。

RITM-200Nは2012年以降、ロシアの原子力砕氷船「アルクティカ」、「シベリア」、「ウラル」、「ヤクーチア」、「チュコトカ」向けに10基が製造され、最初の3隻はすでに北極圏西部で就航中。ロシア国内においては、RITM-200N原子炉をベースにした陸上設置型SMRがサハ共和国北部のウスチ・クイガ村で建設中。2027年の起動、2028年の運転開始を予定している。周辺の鉱床開発などの産業企業に電力を供給する予定だ。

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