ルーマニア チェルナボーダ増設計画をECが承認
16 Jul 2024
チェルナボーダ原子力発電所 © Nuclearelectrica
ルーマニアの国営原子力発電会社であるニュークリアエレクトリカ(SNN)は7月2日、欧州委員会(EC)が、同社のチェルナボーダ原子力発電所3、4号機(カナダ型加圧重水炉=CANDU 6、各70万kW)建設プロジェクトを承認したことを明らかにした。
欧州原子力共同体(ユーラトム)条約は、原子力プロジェクト実施者に対し、原子力安全基準を遵守していることを証明するよう求めている。今回ECのエネルギー総局は、同プロジェクトが技術面および原子力安全面において、欧州原子力共同体(ユーラトム)条約の目的に沿っていると評価した。
3、4号機の建設プロジェクトについては、SNNが全額出資するプロジェクト企業のエネルゴニュークリア(EN)社が、2023年5月にECに通知。ECは、ルーマニア側から提供された情報を入念に分析し、チェルナボーダ発電所の現場視察、および13か月にわたる協議を実施していた。
ルーマニアではチェルナボーダ発電所1、2号機(CANDU 6、70万kW級)が稼働しており、総発電電力量の約20%を賄っている。3、4号機が完成すれば原子力シェアは36%に上昇する見込みで、全4基の稼働により、同国のエネルギー安全保障の強化や自給率の向上を達成する方針だ。3、4号機は1983年に着工したが、1989年のチャウシェスク政権崩壊により、進捗率がそれぞれ15%と14%のまま建設工事が中断した。総工費は約70億ユーロ(約1.2兆円)。2023年3月には、3、4号機建設に対するルーマニア政府による融資保証や差金決済取引(CfD)メカニズムの実施など、ファイナンス面を含めた国家支援を承認する法律が採択された。これにより、SNNが3段階で進めている建設プロジェクトは現在、第2段階(準備作業期間、最大30か月)に入り、プロジェクトの実行可能性を再評価している。最終投資判断(FID)後、第3段階(建設期間)に入る。SNNは、3号機の運転を2030年に、4号機は翌2031年に営業運転開始を予定しており、全4基の稼働により、年間2,000万トンのCO2排出の削減と、19,000人以上の雇用創出が期待されている。