ロシア BN-800にMA含有MOX燃料を初装荷
24 Jul 2024
BN-800 ©Beloyarsk NPP
ロシア国営原子力企業のロスアトムは7月10日、ベロヤルスク原子力発電所4号機(FBR=BN-800、88.5万kWe)に、マイナーアクチノイド(MA)を含むMOX燃料の先行試験用の燃料集合体を初装荷したことを明らかにした。
試験用の燃料集合体3体は、クラスノヤルスク地方にある鉱業化学コンビナートで2023年12月に製造された。燃料集合体には、原子炉の使用済み燃料内の最も放射性毒性の強い長寿命のMAであるアメリシウム241とネプツニウム237を含み、約1年半をかけて、通常より短い3サイクルで燃焼させる。「MAの消滅は高速炉の利点であり、燃料サイクルの全体のインフラで放射性廃棄物の量を減らすことが可能」と、ベロヤルスク発電所のI. シドロフ所長は強調する。
MAを含むMOX燃料製造技術は、ロスアトムの燃料部門であるTVEL社が開発。TVEL社のA.ウグリュモフ研究開発担当上級副社長は「MAを再燃焼する高速炉燃料の使用は、世界の原子力産業界にとって新たな試み。MOX燃料は燃料供給ストックの基盤を拡大し、使用済み燃料の再利用により、放射性廃棄物を減容する。さらにMAを燃焼させることで廃棄物の放射能を大幅に減らし、将来的には地表面近くでの処分を可能にする」と指摘する。
ロスアトムの原子力発電部門、ロスエネルゴアトム社のA. シュティコフ社長は、「高速炉は、濃縮ウランだけでなく、劣化ウランや使用済み燃料から取出したプルトニウムなどの核燃料サイクルの二次生成物を燃料とすることができる。高速炉でのMAの燃焼は、クローズド・サイクルを堅持する、ロシア原子力産業の次なるステップ。現在、ベロヤルスク3号機(BN-600)及び4号機の高速炉の運転経験に基づき、ベロヤルスク発電所では、後続の5号機として建設予定の第4世代の高速炉『BN-1200M』の事前設計開発作業が進行中。原料としてのウランのエネルギーポテンシャルを最大限に活用し、高いレベルの安全性を有する」とコメントした。
また、ロスアトムはトムスク州のセベルスク市で、オンサイトのクローズド・サイクルの確立を目的に、第4世代の鉛冷却高速実証炉「BREST-OD-300」(30万kWe)、ウラン・プルトニウム混合窒化物(MNUP)燃料製造モジュール、使用済み燃料の再処理モジュールを含む、パイロット実証エネルギー複合施設(ODEK)を建設中だ。